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シリーズ自治体の災害政策

2017.05.25 政策研究

東日本大震災を受けて整備された最新の防災・復興法制について(その3)

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復旧・復興対策

(1)生活再建支援
 自然災害で10世帯以上が全壊した市町村等に対して、住宅が全壊して住宅を再建する世帯などに最大で300万円の支援金が給付されます。この支援金は定額渡切りです。
 また、生計を維持している方が亡くなった場合には最大で500万円の弔慰金が、重度の障害を負った方には最大250万円の障害見舞金が支払われます。

(2)復旧・復興計画の策定
 東日本大震災の際には、復興計画が県及び市町村の相互で策定されました。しかし、その後に策定された恒久法である「大規模災害からの復興に関する法律」で復興計画の策定主体は市町村と明記され、都道府県は国の復興基本方針に基づき復興方針を定めるとされました。
 これは、被災者に一番身近な市町村が復興計画を策定することが望ましいという考え方からです。
 東日本大震災の復興計画策定の際の反省点ですが、市町村は人口推計を過大に見積もらないことが重要です。平時で人口減少傾向にある市町村が、大規模な自然災害で被災したからといって減少していた人口が急に増加に転じることはありません。
 将来の社会資本などの維持負担を考えれば、平時から、国立社会保障・人口問題研究所の人口推計などバイアスのない人口推計に基づいて復興計画を策定することが大切です。

(3)被災地での一定期間の建築制限
 比較的大都市で大きな自然災害を受けた場合には、一時的に建物のバラ立ちを抑制しつつ将来世代にも役立つまちづくりのための復興計画を策定する必要があります。
 このため、特定行政庁(おおむね市の場合は市長、町村では知事と考えておいてください)は2か月の建築制限をかけることができます。
 さらに、大都市の場合には、被災者の意見を踏まえて、2か月以上の時間をかけて復興計画を策定する必要性があります。むしろ、その方が普通かもしれません。
 その場合には、まず2か月間で被災した区域全体に対して、被災市街地復興推進地域の都市計画決定を行い、その後2年間をかけて、後述の市街地整備事業を行うかどうか、個別の自力再建を認めるかどうかなどを含め、復興計画を丁寧に策定していってください。

(4)国、都道府県による災害復旧事業、都市計画決定の代行
 大きな自然災害を受け、災害復旧事業や都市計画などの事務を行う体制が市町村で確保することができない場合があります。この際には、市町村長の要請に基づき都道府県が、都道府県から要請があった場合には国が、災害復旧事業や都市計画決定を代行することができます。
 例えば、熊本地震では、県道の整備を国土交通大臣が代行しています。また、上記(3)の被災市街地復興推進地域の都市計画決定は市町村の事務ですが、これを実施することが市町村では困難な場合には、都道府県又は国土交通大臣がこの事務を代行することができます。

(5)災害復興公営住宅
 被災者の生活を支える住まいの対応としては、避難所、応急仮設住宅での対応の後、さらに、自力で住まいを再建できない人のために、災害復興公営住宅を都道府県又は市町村が整備することになります。
 この際には、所得要件等が一定の条件の下で撤廃されます。

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