③ 他の自治体の条例を参考にする場合に大切なこと
「北九州市商店街の活性化に関する条例」と「北九州市中小企業振興条例」については、条例案を検討した時点ですでに多くの自治体で同様の条例が制定されていたので、それらの条文を参考にしました。
しかし、それぞれの規定の意味や意義については、上記のように北九州市自身の解釈と説明ができるようにしています。つまりは、「自分たちの言葉」として、参考にした条文をきちんと手の内に入れています。また、「北九州市中小企業振興条例」における指定管理者の規定のように、独自に項目を追加したり、あるいは削除したりしています。「コピー&ペースト」ではなく、「参考」にしているのです。
同様の条例があれば、条文の構成などを積極的に取り入れてかまいませんし、むしろそうすべきであると考えられます。しかし、その際も、以下の点に留意が必要です。
・自分たちがオリジナルで作成したものとしての解釈や説明ができるようにしておくこと。
・適宜、加除を行うこと。
・間違いや不適当な部分(珍しくはありません!)は、きちんと修正して参考にすること。
○北九州市中小企業振興条例(平成26年12月15日条例第69号)
北九州市は、江戸時代に城下町として栄えた小倉、明治以降に石炭積出港として栄えた若松、官営八幡製鐵所が建設され日本の近代産業発祥の地として発展した八幡と戸畑、陸海の交通の要衝として重要な役割を果たした門司という5つの個性を持った都市が、世界に例のない対等合併したことにより誕生し、さまざまな企業が集積するたくましい産業都市、また環境先進都市として発展してきた。
その発展を支えているのが、創意工夫を凝らした特色ある事業活動を行うことによって、最先端の技術と優秀な人材を提供し続けてきた中小企業である。
中小企業は、その経済活動による市民の雇用の確保、消費生活の充実、女性の社会参画の推進などの本市経済への寄与にとどまらず、まちづくりや災害対応など、市民生活を支え地域社会に貢献する役割も果たしており、中小企業の存在は、市民生活の向上にとって欠くことのできないものである。
近年、本市の中小企業を取り巻く状況は、グローバル化に伴う急激な経営環境の変化や少子高齢化の進展による消費の減退などにより、厳しさを増している。
今こそ、本市の中小企業の経営基盤を強化するとともに、本市の中小企業が飛躍の機会を見いだし、国内外の需要の変化を捉えた新たな市場の開拓に向けて、その力を存分に発揮し成長できる環境を中小企業者、市、中小企業団体、大企業者、金融機関、大学等及び市民が一体となって創り、本市の持続的な経済発展や豊かな地域社会の形成につなげていかなければならない。
ここに、本市の中小企業の振興に向けた基本理念等を明らかにし、施策を総合的に推進するため、この条例を制定する。
(目的)
第1条 この条例は、中小企業が本市経済の発展において果たす役割の重要性に鑑み、中小企業の振興の基本となる事項を定めることにより、中小企業の健全な発展及び市民生活の向上を図ることを目的とする。
(定義)
第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
(1) 中小企業者 中小企業基本法(昭和38年法律第154号。以下「法」という。)第2条第1項各号のいずれかに該当するものであって、市内に事務所又は事業所(以下「事業所等」という。)を有するものをいう。
(2) 中小企業団体 商工会議所、商店街振興組合、事業協同組合その他の中小企業の振興を目的とする団体のうち市内で活動するものをいう。
(3) 大企業者 市内で事業活動を行う者のうち中小企業者以外のものをいう。
(4) 小規模企業者 法第2条第5項に規定する小規模企業者であって、市内に事業所等を有するものをいう。
(5) 大学等 学校教育法(昭和22年法律第26号)第1条に規定する大学及び高等専門学校並びに中小企業の振興に係る研究及びその事業化の促進に取り組む機関をいう。