5 自治体への提言——今、自治体は何をなすべきか? 産業振興に関する人財養成プログラムのあり方
では、人財養成・定着のために何が必要となるだろうか。ここでは、ここ十数年、筆者が全国各地から依頼を受けて実践している人財養成塾の取組を紹介したい。その中で開発した養成プログラム(木村プラン)は、対話、意見交換などを通じた第1回~第4回の講座及び他都市研究(第5回)から構成される。
この人財養成塾の特徴は、行政と民間は3回目まで別々に行い、4回目と現地視察は官民一緒に行うことである。初回から3回目までは、地域創生の基本的事項、ポイントの講義のほか、それぞれの組織、団体の強み、弱みの洗い出し、できる化、見える化を対話、意見交換、ワールドカフェ方式などで行う。そして筆者が現在、推進している「五感六育モデル」に関して、具体的事例に基づき、全員でディスカッションを行う。
近年筆者が、事業構想あるいは地域創生プロデューサー人財塾を開塾した自治体は、秋田県由利本荘市、茨城県行方市、奈良県吉野町、大分県別府市、宮崎県日南市、串間市などである。その成果として、由利本荘市では、広聴による木育施設の設置、観光関連の起業者増とともに新商品の開発を行った。行方市では、3,500日をかけて、行政・農業協同組合・企業との三者連携による世界初の農業のテーマパーク「なめがたファーマーズビレッジ」の完成とそれに伴う愛着心ある若者の地元戻りが実現中である。吉野町では、林業ビジネスの周辺3町村の連携によるブランド化の推進、女性グループの起業や吉野山観光のネットワーク化を図った。日南市では、観光用体験学習の機会増、油津商店街の再生や飫肥地域の歴史的建造物群による観光ブランド化などが実現している。