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特集 地方創生

2016.07.25 政策研究

地域創生 成功の方程式―担い手養成・定着の着眼点―

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(2)岐阜県多治見市での研修会
 研修会の開催前に、東濃飛騨市議会議長会の加藤元司会長(多治見市議会議長)に多治見市内を案内いただいた。多治見市は、1940年に誕生し、古くから陶磁器やタイルなど美濃焼の産地として発展してきたまちである。そして、1970年代半ば以降の丘陵部の宅地開発や2006年の土岐郡笠原町との合併などにより、2016年7月1日現在の人口は11万2,923人、4万5,606世帯の東濃地域の中核都市となった。
 多治見市は、岐阜県南部に位置し、「やきものと文化の薫りが漂うまち」をテーマにしており、陶磁器生産が国内生産量の約5割のシェアを誇る美濃焼の産地である。そのため、同市は物文化の都として、美濃焼とともに発展してきた経緯がある。市内には、歴史ある窯元や古いまちなみ、実に風格のある古刹(こさつ)や修道院、自然の中に静かにたたずむ名所や旧跡が並んでいる。また、開山700年の虎渓山永保寺、設立80年の神言修道会、美濃陶芸の人間国宝を4人輩出している。多治見市では、これらの長きにわたる歴史文化に裏打ちされた「ひとを育てる文化」を礎に、地場産業振興、企業誘致や教育環境、地域医療の充実など、「人が元気!町が元気!多治見」を目標に、まちづくりを実践している。個性あふれる美濃焼が並ぶショップやギャラリー、手軽に陶芸が体験できる作陶工房が充実し、陶都としての美濃焼文化が息づいている。また、先述の歴史的環境、清流土岐川や緑あふれる公園など、心癒やされる見どころが満載のまちだ。マスコットキャラクターが「うながっぱ」であることからも分かるように、食は、うなぎ、五平餅が有名である。
 この地の文化に大きな礎を築いてきた人間国宝は、前述のとおり4人いるが、その1人の「虎渓山 水月窯」の国重要無形文化財(人間国宝) 故荒川豊蔵氏(1894年~1985年)の作品や窯元はぜひとも訪れたい名所だ。荒川氏は、1955年に志野・瀬戸黒の技術で人間国宝に認定されたと聞く。荒川氏の言葉に「一流のものを見聞きし、その世界を知ったこと、これが知らず知らずに目の蓄えとなった」がある。筆者は父親から常に「一流人とは本物を多く見聞し、生まれるもの。とにかく徹底的に本物を見聞せよ」と言われ続けてきており、筆者自身、「自ら知り気づき、広聴、実学・現場重視の視点が最重要」と主張していることもあり、実に感じ入る言葉である。
 筆者は、多治見駅に着くと、その「水月窯」に向かった。1946年に開いた窯であり、現在は三代目の荒川広一氏が「水月窯」を運営している。荒川広一氏から、地元の土を使用し、染付、粉引、赤絵など全て手づくりの作品、年1回の連房式登り窯等の窯入れの工程に関して、一連の流れを説明いただいた。この地域では古墳時代から始まったといわれるやきもの文化があり、1300年の伝統と文化、土と火の芸術、美濃桃山陶として、瀬戸黒、志野、織部、黄瀬戸黒がつくり出された。過去4人の方が人間国宝に認定されており、作品は目をくぎ付けにする。岐阜県現代陶芸美術館、多治見市美濃焼ミュージアムなどで作品を鑑賞した後、まちの工房などで作陶体験ができるまちづくりがなされている。
 「水月窯」を視察後、市内のまちなみを見て回り、700年にわたる歴史、修行僧の修行の場、臨済宗 虎渓山四ケ寺を視察した。実に見事な国宝観音堂、国宝開山堂、国指定名勝庭園、神言修道会 多治見修道院ほか、まちなかを視察したが、情緒漂うまちの印象を覚えた。
 今後は、まちの拠点をつなぎ、「五感六育」などの事業構想と推進を目指し、独自の産業・歴史・文化の世界発信と、特に地域と地域、ひととひとをつなぐ、プロデューサー人財の養成と定着が重要だと考える。

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