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2016.04.25 若者参画

18歳選挙元年の主権者教育。地方議会が担うべき役割とは

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東洋大学社会学部助教 林大介

18歳選挙権元年

 いよいよ18歳選挙権時代が始まる。
 ご存じのとおり、昨年、公職選挙法が改正され、この6月19日以降に公示・告示されるすべての国政選挙、地方選挙等における投票年齢が「18歳以上」に引き下がった。
 若年層の低投票率がいわれている中、選挙や政治について子ども・若者はどのように考えているのか(2014年12月の第47回衆議院議員総選挙では、平均52.66%に対し、20歳代32.58%、30歳代42.09%とそれぞれ10〜20ポイント平均よりも低い。図参照)。
 NHKが2015年11月~12月にかけて実施した、18歳・19歳の若者3,000人を対象にした世論調査(回答率60.4%)によると、「あなたは、いまの日本の政治にどの程度関心がありますか」という問いに対して、「関心がある(大いに関心がある+ある程度関心がある)」と答えた人の割合は52.4%であった。また、「あなたは、いまの政治が変わってほしいと思いますか」の問いでは、「変わってほしい(大きく変わってほしい+ある程度変わってほしい)」は87.3%と、ほとんどの若者は、いまの政治に変わってほしいと思っているようだ。そして「あなたは、来年夏の参議院選挙で投票に行きますか」という問いでは、「必ず行く+行くつもりでいる」が60.7%であった。

18歳・19歳の投票行動が当落を左右する!?

 2014年の総選挙では小選挙区において接戦が目立ち、最少得票差は新潟2区の102票、2,000票以内の僅差は10選挙区であった。これは、2012年の前回衆院選の8選挙区よりも増加している。
 よく「私の1票で何が変わるのか」「たかが1票では、何の影響も及ぼさない」といわれたりもするが、このような“102票差”で当落が決まっている現実を見ると、「たかが1票」などと気楽にいえない。
 18歳選挙権によって新たに選挙権を得る18歳・19歳の人口は約240万人といわれている。この240万人を小選挙区数295で単純に割ると、一選挙区当たり8,136人。18歳・19歳の投票率をNHK調査を踏まえて60%とすると、一選挙区当たり4,882人となる。つまり、5,000人弱の18歳・19歳の動向が、実は接戦時の選挙においては勝敗を左右する可能性がある。
 特に地方自治体での選挙においては、「1票」が当落を決めることはよくある。実際、2015年の統一地方選挙では、同数票のため“くじ引き”で決着(熊本市議選)、複数の同名の候補者がいたことで按分票となり“0.34票差”で当選(相模原市議選)といったことが起きた。大都市である政令指定都市ですら1票が勝敗を決しており、「1票」がどれだけ意味のあることかがよく分かる。

図 衆議院議員総選挙における年代別投票率(抽出)の推移図 衆議院議員総選挙における年代別投票率(抽出)の推移

 選挙の争点が、18歳・19歳にとって身近かどうかが問われ、政策にも注目が集まる。少子高齢化の中で、有権者である若者の数そのものは相対的に少ないものの、いわゆる「若者政策」が充実しているかどうか、その若者政策を若者が支持するかどうかは、政党や候補者にとって注視せざるを得なくなる。

新たに選挙権を得る18歳・19歳の人口は約240万人、一選挙区当たり4,882人となる。つまり、5,000人弱の18歳・19歳の動向が、実は接戦時の選挙においては勝敗を左右する可能性がある。新たに選挙権を得る18歳・19歳の人口は約240万人、一選挙区当たり4,882人となる。つまり、5,000人弱の18歳・19歳の動向が、実は接戦時の選挙においては勝敗を左右する可能性がある。

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