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2016.02.10 政策研究

【2016年展望】地方創生は早くも正念場~動かぬ地方分権~参院選モード全開

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爆買いも終わり?

 地方創生で気になるのが、国際観光ブームがいつまで続くかだ。2015年の訪日外国人は1,974万人、2千万人に迫った。特に中国人による「爆買いツアー」が続いたほか、東京や京都、大阪ではホテル不足が深刻化している。
 マンションの空き部屋に旅行客を泊める「民泊」も大阪府や東京都大田区で始まる。全国でも民泊を認めるようにと、ルールづくりを厚生労働省と観光庁で検討しているが、この中国人の「旅行ブーム」、「爆買いブーム」がどれだけ続くのかは少し冷静になって考えた方がいい。
 実際、2015年後半から中国人の訪日客数、爆買いの勢いが落ちているという話も聞く。中国で決済手段として使われる「銀聯(ぎんれん)カード」の海外での現金引き出し額も、資本流出を恐れ1月から年間10万元(約180万円)に制限された。
 さらにインターネットを通じて日本の商品を中国国内でも買えるようになってきており、わざわざ買い物だけのために旅行に来る必要性も乏しくなる。買い物に加えて地域の文化、歴史も含め楽しんでもらえるプログラムづくり、中国以外の国に主眼を置いた観光振興策の展開が重要となる。

忖度(そんたく)政治

 最後に、安倍政権の地方分権の動きは鈍い。例えば、地方版ハローワークについては2015年12月、都道府県の判断で国の職業紹介がない空白地帯に窓口を設置したり、市町村でも職業紹介したりすることが可能となった。あくまで国のハローワークと併存する形で、全国知事会が求めてきた全面的な地方移管は実現しなかった。
 これは地方から提案を毎年度受け付け国が検討、結論を出す方式で進める安倍政権の地方分権改革の一環だ。だが、安倍首相が旗振り役となって大きなテーマ、目標を定めて実践を迫るタイプの地方分権の動きは乏しい。「地方こそ成長の主役」とした自民党2015年政策パンフレットでも地方創生、女性の活躍はあっても「地方分権」は一言もなかった。
 政府の第31次地方制度調査会が2015年12月にまとめた「人口減少社会に的確に対応する地方行政体制およびガバナンスのあり方に関する答申」も地方分権の観点からの視点は乏しい。
 自民党、政界での安倍1強状態が続き、安倍首相の思いを忖度する政治、行政が幅を利かせている。安倍首相の脳裏に地方分権が浮かばなければ、積極的にそれを進めようとする動きは残念ながら出てこない。
 よく考えれば、政府関係機関を地方に移転するとしてもコストと時間は掛かる。それよりは、国の東京での仕事をさらにスリム化し、その権限と財源、見合う職員を国の出先機関や地方自治体に移す方が現実的な対応ではないか。
 地方創生、政府関係機関の地方移転といった華々しい花火とはならないが、着実に地方の人口減少対策には効いてくる。やはり原点に戻って、さらなる地方分権を進めるのが行政面から地域を活性化させる王道ではないだろうか。

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