国への提言
ここまで佐賀県で実践してきた実例と経験から、CIOとして外部人材を招き業務改革を行う方法について述べてきたが、それだけの外部人材を自治体(それも県や政令市ではない小規模自治体)が単独で雇い入れることができるか? という疑問もあるのではないか。
確かに、上で述べたような要件を満たす人はそれなりの対価も必要になってくる。佐賀県の場合も、CIOの報酬などをめぐって県議会でも議論されている。
上で述べたように、現在、内閣府が開いている「公共サービスイノベーション・プラットフォーム」にて、佐賀県のような事例をどのようにすれば、他の自治体にも横展開していくことができるかが議論された。
私からは、佐賀県での経験をもとに、地方自治体へ国から外部専門家をCIOとして派遣するような制度がつくれないか提案を行った。このプラットフォームでの検討結果として、経済財政諮問会議への報告書にその提案もほぼ修正されることなく掲載されたので、2016年度、国の政策として取り上げられることに期待しているところである。
内閣府のホームページで「経済財政諮問会議」、「公共サービスイノベーション・プラットフォーム」の会議資料と議事要旨が公開されているので、より詳しい情報はそちらを参照していただきたい。
明日の論点をチェック
グローバルレベルで日進月歩の情報化の波に、地方自治体がキャッチアップするためには、自治体CIOの活用が欠かせません。そのために議会では次のような点をチェックすることが期待されます。
□自治体がCIOの役割と専門性を理解しているか
□CIOの採用に際して、自治体の規模に合った適切な人材をリクルーティングし、適格性が議会で公開されたか
□任期や処遇などの議論が議会で行われたか
□厚生労働省で実際に起きたマイナンバーをめぐる官と業の癒着事件なども踏まえ、執行部側に適切な人材が配置されるフォロー体制をとっているか
□情報部門と現場の職務執行を定期的にチェックする仕組みができているか
□目標設定や成果を明らかにしているか
資料①:内閣府ホームページ:第2回公共サービスイノベーション・プラットフォーム会議資料(2015年10月30日)
http://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/special/innovation/151030/agenda.html
資料2-1 佐賀県のIT利活用実践からの提言(森本委員提出資料)
http://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/special/innovation/151030/shiryou2-1.pdf
資料②:内閣府ホームページ:2015年第21回経済財政諮問会議会議資料(2015年12月7日)
資料2-1 公共サービスイノベーションに係る先進事例の全国展開に向けた課題と対応について
(概要)(公共サービスイノベーション・プラットフォーム)
http://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/minutes/2015/1207/shiryo_02-1.pdf
資料③:内閣府ホームページ:2015年第21回経済財政諮問会議会議資料(2015年12月7日)
資料2-2 公共サービスイノベーションに係る先進事例の全国展開に向けた課題と対応について
(公共サービスイノベーション・プラットフォーム)
http://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/minutes/2015/1207/shiryo_02-2.pdf