地方自治と議会の今をつかむ、明日につながる

議員NAVI:議員のためのウェブマガジン

『議員NAVI』とは?

検索

ソーシャルなひと

2015.10.26 政策研究

誰もがいきいきと働ける職場づくりを目指す【NPO法人虹色ダイバーシティ】

LINEで送る

行政だからできること

 大阪市淀川区では、2013年に全国行政機関初の「LGBT支援宣言」を行いました。そして、2014年から約400万円の予算の下、電話相談、コミュニティスペース事業などの「淀川区LGBT支援事業」(http://niji-yodogawa.jimdo.com/)を行っています。虹色ダイバーシティとNPO法人Queer and Women’s Resource Center(http://qwrc.jimdo.com/)は共同で淀川区の委託を受け、6つの事業を運営しています。6つの事業とは、職員との意見交換会、啓発講演会、コミュニティスペースの運営、LGBT専門の電話相談事業、区民意識調査、淀川区・阿倍野区・都島区の教員と合同で制作中のLGBTハンドブックです。
 大阪市十三駅から徒歩3分の場所でコミュニティスペースを運営しています。自分以外のLGBT当事者に会ったことがない、LGBTの集まりに初めて参加する人も多くいます。初回から30人以上の人が集まった理由として、「行政」が開催している「安心感」から敷居が下がったことが挙げられるのではないかと思います。

淀川区LGBT支援事業コミュニティスペース入り口の様子。レインボーカラーの布やフラッグを飾るなど、明るく入りやすい雰囲気になっている。淀川区LGBT支援事業コミュニティスペース入り口の様子。レインボーカラーの布やフラッグを飾るなど、明るく入りやすい雰囲気になっている。

 皆さんの地域に、自分の性自認を隠さずに話せ、同性のパートナーについて相談できる、LGBTが安心して集まれる場所はあるでしょうか。近年LGBTの活動が活発になり、昼間から集まれる場所やイベントなども随分増えてきました。しかし、多くの場所はセクシュアリティ(性のあり方、ここではLGBTのどれに当てはまるかということ)が限定されていたり、都市部に集中していたりします。また、イベントは夜に開催されることも多く、未成年の若者が安心して足を運べる場所はほとんどありません。インターネットで検索すると親にばれてしまう、検索してもどんな場所なのか分からないといった不安もあり、多くのLGBTは情報や仲間にたどりつきにくいのが現状です。
 淀川区がLGBT支援宣言を行った後、全戸配布の広報誌などにLGBTの講演会などについて載せ、区の職員全員が虹のマークのついた名札をつけました。また、区内74か所の広報板に淀川区LGBT支援事業のポスターを貼り出しました。毎日歩く通勤路、通学路にLGBTのポスターが貼ってあります。これは行政だからこそできたことです。コミュニティスペースには年間300人以上の人が足を運んでいます。民間ではできなかったことが、行政の力を受け、命を救う事業へと発展しているのを肌で感じています。
 LGBTについて何かしようと思っても、もし職員や同僚がカミングアウトしてきたらどうしよう、正しい知識がないから相談に乗れない、と始める前に不安を感じ、尻込みしてしまう人も多いでしょう。まずは、その不安な気持ちを周りの人と共有し、分からないことをひとつずつ解決することから始めてみてはいかがでしょうか。パレードなどLGBTのイベントに参加してみましょう。そして、職場や地域でLGBTについて話し合う場をつくってください。当事者のゲストを呼んで講演会を開催してみるのもいいかもしれません。LGBTについては初めてでも、今までに培った人権課題への施策や取組が生きてくるはずです。LGBTについて話題に出すところから始めましょう。

仕組みから風土を変え、ALLY企業へ

 LGBTへの理解と支援を表明している人や企業のことを英語でALLY(アライ)といいます。私たちは研修を行っている企業に向けて、まずは「仕組み」を整えることを提案しています。社員研修を実施し、LGBTについて学ぶ機会をつくることでLGBTが相談しやすい環境をつくることが大切だと考えます。その次に社内ルールや制度を見直し、さらに理解者を増やす体制を整えます。そして、職場全体の意識を変えることができ、社会に対してもLGBTフレンドリーな活動ができるようになれば、真のALLY企業だといえるのではないでしょうか。

コミュニティスペースには10代から60代まで毎回20名以上の参加がある。中には小さな子ども連れの方も。皆自分らしくいられる居場所を探している。コミュニティスペースには10代から60代まで毎回20名以上の参加がある。中には小さな子ども連れの方も。皆自分らしくいられる居場所を探している。

 講演会のアンケートなどで「カミングアウト(自身の性のあり方について他人に打ち明けること)しやすい社風を目指します」と感想を書いてくださることがあります。ぜひもう一歩先に進み、「当事者以外がALLYであることをカミングアウトしやすい雰囲気づくり」を目指してほしいと思います。当事者がカミングアウトするのは大きなリスクを伴います。もし打ち明けた相手がLGBTに理解がなかったら、職や居場所を失ってしまう可能性があるからです。当事者が目に見えないのと同じように、ALLYも目に見えません。ぜひ今日からALLYであることをまわりに打ち明けることから始めてみてほしいと思います。

この記事の著者

議員 NAVI

今日は何の日?

2025年 425

衆議院選挙で社会党第一党となる(昭和22年)

式辞あいさつに役立つ 出来事カレンダーはログイン後

議員NAVIお申込み

コンデス案内ページ

Q&Aでわかる 公職選挙法との付き合い方 好評発売中!

〔第3次改訂版〕地方選挙実践マニュアル 好評発売中!

自治体議員活動総覧

全国地方自治体リンク47

ページTOPへ戻る