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2015.10.26 政策研究

温暖化対策で議定書採択か〜COP21で決まる地球の未来〜自治体の政策見直しも必至

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一般社団法人共同通信社編集委員兼論説委員 諏訪雄三

 2020年以降の地球温暖化対策に世界各国は協力してどう取り組むのか。この難題を解決するため今年11月末から、気候変動枠組み条約の第21回締約国会議(COP21)がパリで開かれる。議定書など新たな法的枠組みが採択されれば、日本の温室効果ガスの削減計画、地方自治体の温暖化対策の見直しにも直結する。日本の現状、国際交渉の見通しをまとめた。

26%削減案

 まず、日本の削減目標案を説明しておこう。今年6月に公表した約束草案(削減目標案)では、2030年度の排出量を約10億4,200万t、2013年度に比べて26%削減するとした。2005年度比では25.4%減、1990年度比で18.0%減となる計算だ。
 「2050年で世界の排出量を半減、先進国全体では80%削減する」との目標を政府は掲げてきており、26%削減との整合性は確保されていると説明する。
 ドイツで開かれた先進7カ国(G7)首脳会議で安倍晋三首相が国際的に発表し、「G7のどの国にも劣らぬ野心的目標だ」と自画自賛した。
 目標の公平性・野心度について政府は、①国内総生産(GDP)当たりの温室効果ガスの排出量、人口1人当たりの排出量はいずれも先進国で既に最高水準にある、②さらなる削減に必要な限界費用は高いレベルにあることに加え2030年時点で2~4割の改善が見込まれている―と説明しているが、国際的な評価は低迷している。
 2030年度の排出量の内訳はこうなる。エネルギー起源の二酸化炭素(CO2)排出量は9億2,700万t(2013年度比25.0%減)を目指す。部門別の内訳は、産業が4億100万t(同6.5%減)、業務その他が1億6,800万t(同39.8%減)、家庭が1億2,200万t(同39.3%減)、運輸が1億6,300万t(同27.6%減)、エネルギー転換が7,300万t(同27.7%減)となっている。削減量は対策を積み上げて算出したとしている。
 森林整備など吸収源活動は3,700万t相当(2013年度総排出量の2.6%)を目標に掲げている。他のガスの削減も合わせると、26%削減になるわけだ。
 このほか、海外での排出量削減・吸収量は、政府による二国間クレジット制度(JCM)の実施によって2030年度までに累積で5,000万~1億tの効果が見込まれる。産業界の取組を通じた技術の普及などによって全世界で少なくとも10億tの排出削減の可能性があるとした。これらの数字は現段階ではカウントしていない。

表 エネルギー起源二酸化炭素の各部門の排出量の目安表 エネルギー起源二酸化炭素の各部門の排出量の目安

 今後、地方自治体も国と歩調を合わせた削減の対応を求められることになる。ただ、事務所ビルなどのCO2排出量に環境確保条例で上限を設定し、排出量取引を導入した東京都など先行して対策を強化してきた自治体に比べると、国の取組は遅れているといえる。自治体の取組に水を差さないか。
 26%の前提として2030年の電源構成が、長期エネルギー見通しによるエネルギーミックスで示されている。
 これは年1.7%の経済成長が続くことを前提に必要な電力需要量を算出した。2013年度実績の9,666億kWhから2030年度に1兆1,769億kWhまで伸びると想定した。送配電のロスも含めると1兆2,780億kWhを必要とする計算だ。

図1 2030年の電源構成図1 2030年の電源構成

 ただ、徹底した省エネルギーによって対策前に比べ需要を17%減らし9,808億kWhとする。ロスを含め総発電量は1兆650億kWhと最終的に想定。この総発電量に占める割合を原子力が22〜20%に対し、再生可能エネルギーが22〜24%、LNGが27%、石炭26%、石油3%とした。再生可能エネルギーは現状の10%から2倍以上の引き上げ。脱原発依存と再生可能エネルギー導入のバランスを取った形となった。
 この結果、原子力、石炭火力、水力、地熱という効率化のため発電量の変動を小さく抑える必要があるいわゆる「ベースロード電源」は56%となる計算だ。

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