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条例REPORT

2015.09.10 政策研究

ひろがる読書条例

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大阪府立中央図書館 日置将之

はじめに

 近年、「読書」をまちづくりの重要な要素として位置付け、様々な取組を行っている自治体が増えてきている。中でも、特に力を入れている一部の自治体では、読書活動の推進を主目的にした条例(以下「読書条例」という)を定めて、より積極的な施策を展開している。読書条例を制定する自治体はここ数年で増加しているが、その内容は各自治体の読書活動の推進に対する考え方を反映し独自の個性を持つものが多い。そこで本稿では、読書条例制定の背景のほか、これまでに制定された読書条例の特徴等について紹介したい。

1 読書活動推進関連の法律

 読書条例が制定され始めるより以前に、読書関連の法律がつくられている。具体的には、「子どもの読書活動の推進に関する法律(平成13年法律154号)」(1)と「文字・活字文化振興法(平成17年法律91号)」(2)である。読書条例の誕生には、この2つの法律が影響していたと考えられる。そこで、まずこれらの法律の概要を紹介する。

(1)子どもの読書活動の推進に関する法律
 2001年12月に公布・施行された「子どもの読書活動の推進に関する法律」は、子どもが自主的に読書できるように読書環境の整備を進めることを目的に定めた、読書活動の推進を主目的にした日本で初めての法律である。同法では子どもの読書活動推進に関する基本理念を定め、国は「子どもの読書活動の推進に関する基本的な計画」を策定・公表すること、地方自治体は国の基本計画を受けて、地域の状況に応じた推進計画を策定・公表すること等を定めている。
 自治体に求められた推進計画の策定は努力義務であるが、2014年3月時点の調査では全ての都道府県で策定されており、市町村では64.2%の自治体で策定済みとなっている(3)。計画を策定した自治体では、その計画に基づいて子どもの読書活動の推進に関する様々な施策が進められている。
 なお、読書条例の中には、北九州市のように同法の推進計画策定を条文で改めて規定しているものや、横浜市や有田川町等のように読書活動の推進に関する施策や取組について、推進計画等との整合性を図ることを求める条文を設けているものも存在している。

(2)文字・活字文化振興法
 「文字・活字文化振興法」は、文字・活字文化(4)の振興に関する施策の総合的な推進を図ることで、知的で心豊かな国民生活や活力ある社会の実現に寄与することを目的とした法律で、2005年7月に公布・施行されている。
 同法では、読書も含めた文字・活字文化という大きな枠組みの中でその振興をうたっており、基本理念を定めて国や地方自治体等の責務を明らかにし、地域における文字・活字文化の振興や学校教育における言語力の涵養(かんよう)のほか、財政上の措置等を求めている。
 地方自治体に対しては、各地域の実情に応じた文字・活字文化の振興に関する施策を策定・実施する責務があるとし、関係機関や民間団体との連携強化や公立図書館の設置等による文字・活字文化の振興等を求めている。

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