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特集 2015年統一地方選挙

2015.03.10 選挙

政策型選挙で勝ち抜く~政策のチカラが選挙を変える、マニフェストスイッチプロジェクト~

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役所に副次的効果

福田(川崎市長) 熊谷市長がおっしゃったトレードオフの関係をしっかり見せていくということはすごく重要なことだと思います。つまりコストの見える化ですね。
 私が市長に就任したとき、待機児童対策の関係で保育所に子どもを1人預けるといくらの税金が投入されるのかということを聞いたところ、担当者は即答できませんでした。そのくらいコスト感覚が欠如していた。今年度は、保育所の募集要項にも、わざわざ金額を入れました。口を開けば財政のことばかり、金がないとばかり言って、だんだん嫌われつつあるんですけれども(笑)。でも、これを文化にしていかなくちゃいけないと思うからなんです。
大西 政策をつくる過程で住民参加をしていただくときには、行政は他の自治体の状況について住民に示さなければなりません。つまり、住民参加を政策形成に組み入れることで、役所も当然そういう調査を一生懸命にやるという副次的効果がある。この辺がマニフェストを生かしていくという上では非常に大きいと思います。
 議員のマニフェストにありがちなのは、あれもやります、これもやります、ということしか書いていないということですが、自治体を経営していくという首長の立場からすれば、「今年これを強化してやるのであれば、ここの部分を落としますよ」という議論が必ず出てくるわけですね。だから、私はそういう意味での説明をしっかりとできる関係づくりというのを、まずは選挙の過程でやっておく、そして当選後も常に住民への説明を繰り返しながら政策を実現させる方向につながっていくかなと思っています。

達成が最終目的ではない

──首長の任期は4年ですが、一定の成果を出すと考えると、この4年という期間はとても短いと思います。例えば福田市長のように「中学校給食を実施します」とマニフェストに書かれていれば、当選後ロケットスタートで具体論に入れます。マニフェストにはっきり書かれていないと、そうはいきません。マニフェストに「期限」を切ることを、皆さんはどう思われますか。
熊谷 期限に意味のある場合はマニフェストに期限も書きます。「できるだけ早期」といった"早くやります"というメッセージを出すときもありますし、具体的な年限を出す場合もありますが。私は、当選後いわゆるマニフェストの進捗状況を示しています。具体的な行動計画を4年で区切って書き、半期に一度更新をしています。マニフェストで一番大事なのは、一つひとつの期限というより、やっぱり優先順位の考え方が有権者に伝わるかどうかだと思います。
福田 中学校給食の話を例に出されたのでお話ししますが、市内3か所に給食センターをつくることになり、PFIで入札とそこまでは順調に進めてきましたが、建設需要がひっ迫してしまい、計画が10か月ほど遅れてしまったのです。その結果、私の任期が終わる2か月前に稼働する給食センターと、2か月後に稼働するセンターができることになりました。中には、「市長、半分公約が達成できないということですね」という指摘もありましたが、そのとおりだと受け止めています。4年任期の中でやるということになっているので、そういう意味では全部区切られている。
 私が失敗したなと思っているのは、マニフェストの中に優先順位を付けていなかったことです。全部がトッププライオリティみたいになってしまった。これからの3年間、政策ごとに進捗の熟度が異なって出てくると思いますが、そういうときにやはり優先順位が必要です。熊谷市長が言われるように、優先順位をしっかり付けるべきだと思います。

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