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条例REPORT

2015.03.10 政策研究

理念だけでなく実効性ある条例を目指して~大津市子どものいじめの防止に関する条例~

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 自然豊かな山々と、その四季折々の彩りを映す琵琶湖に抱かれた大津市は、滋賀県の県庁所在地であり、人口34万人の県都です。平成23年秋、いじめを受けた市内の中学生が自ら命を絶つという異例の事態が起こり、執行部がマスコミ報道等の日々の対応に追われる中、「議事機関」である議会ができることは何かと模索した結果が、議員提案による条例制定でした。平成23年度に政策検討会議により議員提案条例(政治倫理条例)を制定した経験を生かし、平成24年7月には新たに本条例制定のための政策検討会議を立ち上げ、各会派から1人ずつ代表者が出席し、検討を開始しました。二度とこうした悲しい事案が起こることのないように、実効性のある条例を目指して会議を重ね、大学や県警、教育現場等幅広く知見を取り入れ、平成25年2月の制定にこぎつけました。
 本条例の特徴は、単に理念を掲げただけでなく、いじめ防止という課題に対して行政そして当事者である子どもを含めた全ての関係者の責務や役割を規定し、具体的な施策と財政的措置を明記したところにあります。14条にて設置された、いじめ相談を受けた後の必要な調査・調整を行う「大津の子どもをいじめから守る委員会」は常設機関であり、スピーディな対応が期待されています。
 附則には施行後2年の条例再検討の規定が盛り込まれており、この平成27年2月議会には、執行部より改正案が出てきました。この2年間の施策実施結果の反映や、本条例の後に制定された「いじめ防止対策推進法」との用語定義統一など、本条例をさらに実効性あるものにするべく、議会の検討は続きます。

条例にも規定された年に2回のいじめ防止啓発月間イベントで条例にも規定された年に2回のいじめ防止啓発月間イベントで

大津市子どものいじめの防止に関する条例〔抜粋〕
平成25年2月19日
条例第1号

(子どもの役割)
第7条 子どもは、互いに思いやり共に支え合い、いじめのない明るい学校生活に努めるものとする。
2 子どもは、いじめを受けた場合には、一人で悩まず家族、学校、友だち又は関係機関等に相談することができる。
3 子どもは、いじめを発見した場合(いじめの疑いを認めた場合を含む。)及び友だちからいじめの相談を受けた場合には、家族、学校又は関係機関等に相談することができる。
(大津の子どもをいじめから守る委員会)
第14条 市は、相談等を受けたいじめ(いじめの疑いを認めた場合として相談等をされたものを含む。以下この条において同じ。)について、必要な調査、調整等を行うため、市長の附属機関として、大津の子どもをいじめから守る委員会(以下「委員会」という。)を置く。
2 委員会は、市長の諮問に応じるほか、相談等のあったいじめについて、その事実確認及び解決を図るために必要な調査、審査又は関係者との調整(以下「調査等」という。)を行うものとする。
3 委員会は、必要に応じて市長に対し、再発防止及びいじめ問題の解決を図るための方策の提言等を行うことができる。
4 委員会は、特に必要があると認めるときは、関係者に対して資料の提出、説明その他必要な協力を求めることができる。
5 委員会は、市長の諮問に加えて、教育委員会からの協議に応じることができる。

写真提供:大津市議会議会事務局

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