地方自治と議会の今をつかむ、明日につながる

議員NAVI:議員のためのウェブマガジン

『議員NAVI』とは?

検索

特集 2015年統一地方選挙

2015.03.10 選挙

2015年統一地方選挙で問われるもの

LINEで送る

 第18回目を迎える統一地方選挙は、前半戦が4月12日に、後半戦が26日に行われる。これらの地方選挙では何が問われるのか、あるいは何が問われるべきであろうか。地方議会議員選挙に焦点を当てて検討してみよう。

地方議会議員選挙の選挙区制度

 代表を選び出す一定の地区が選挙区で、この選挙区ごとに選ばれる人数が議員定数である。選挙区制には1選挙区から1人の議員だけを選ぶ小選挙区制と1選挙区から2人以上の議員を選ぶ大選挙区制がある。
 都道府県議会議員選挙は、大選挙区制と小選挙区制の併用であり、指定都市の議会議員選挙は、行政区を選挙区とする大選挙区制となっている。指定都市を除く市町村の議会議員選挙は、当該市町村の区域を1つの選挙区とする大選挙区制となっている。小選挙区制では、最も得票数が多かった候補者だけが当選するから、代表のあり方は多数代表になる。大選挙区制では、候補者の得票順に複数の代表者が当選でき、定数の範囲内なら得票の少ない候補者も選ばれるから、代表のあり方は少数代表になる。同じ大選挙区制でも、複数の選挙区が存在する場合と、選挙区が1つの場合では代表の性質が違ってくる。

都道府県議会議員選挙の選挙区制の変更

 都道府県議会議員の選挙区について、公職選挙法により「郡市の区域による」とされてきた。全国都道府県議会議長会は、すでに「郡」には行政単位の実質はなく、さらに合併の進行によって地域代表の単位としての郡の存在意義は大きく変化したことを理由に、全国的に守られるべきルールを明らかにした上で、地域の実情を踏まえ、都道府県が条例で自主的に選挙区を規定できるような改正を自民党等へ強く要請してきた(2009年10月27日の「公職選挙法の改正を求める緊急要請」)。
 こうした要請を受けて、国は、第18回統一地方選挙に間に合うよう、2013年12月、公職選挙法の一部を改正した(2015年3月1日施行)。都道府県議会議員の選挙区は、条例で定めることとするとともに、一定の要件の下で、市町村を単位として設定することとし、また、指定都市の区域においては、行政区の区域を分割せずに2以上の区域に分けた区域を単位として設定することとなった。
 埼玉県議会は、2010年国勢調査の結果及び平成の大合併を経た県内市町村の状況を踏まえ、選挙区及び各選挙区定数、埼玉県議会の総定数を改正するため、2014年9月定例会において「埼玉県議会議員の定数並びに選挙区及び各選挙区において選挙すべき議員の数に関する条例」を改正し、定数93人、52選挙区に定め、第18回統一地方選挙へ備えた。選挙区名称を該当自治体名を併称する新呼称に改めた。52選挙区のうち、1人区が27、2人区が16、3人区が5、4人区が3、7人区が1となっている。
 大分県議会でも、2014年3月、選挙区と議員定数の改正を行い、議員の定数を44人から43人に改め、「国東市・東国東郡」選挙区の名称を「国東市・姫島村」に改め、議員の数を2人から1人にし、「速見郡」選挙区の名称を「日出町」に改め、「玖珠郡」選挙区の名称を「九重町・玖珠町」に改めている。16選挙区のうち、1人区が7、2人区が3、3人区が4、5人区が1、13人区が1(大分市)となった。
 都道府県議会議員の選挙区は、1の市の区域、1の市の区域と隣接する町村の区域を合わせた区域、隣接する町村の区域を合わせた区域のいずれかによることを基本とし、条例で定める。これらの各選挙区は、その人口が議員1人当たりの人口(都道府県の人口を都道府県の議会の議員の定数で除して得た数)の半数以上になるようにしなければならない。いずれにしても、各選挙区の地域代表という性格を強く有している点に特徴がある。
 大半の議員は中央の政党につながる党派に分かれ、会派を結成している。この政党化を重視し、代表のあり方を比例代表制に変え、各政党の得票数に応じて議席を配分する制度に変えたらどうかという考え方もある。会派が住民代表機能を果たす上で担う役割を重視するならば、選挙における公約に会派共通事項と選挙区の政策課題を接合させる工夫が必要である。
 指定都市を含む道府県の議会議員の場合は、指定都市の選挙区との関係が問題になる。指定都市には行政区が置かれ、公職選挙法上、市議会議員の選出は行政区ごとに行われ、都道府県議会議員の選出についても、原則として行政区ごとに行われるからである。指定都市の議員は選挙区である行政区の地域代表という性格を持つが、指定都市が都道府県並みの事務権限を持っているため、行政区を単位に選ばれる道府県議会議員の役割は曖昧になりやすい。行政区選出の議員は道府県議会でどのような機能を果たせばよいのかという疑問が出てくる。
 来る4月12日に行われる広島県議選(広島市分)と広島市議選の選挙区は同じで、定数は上表のとおりとなっている。
 県議と市議の定数は異なっているが、同じ選挙区を代表する形で同じ選挙期間中に有権者に支持を訴えるのである。選挙公約に関し、県議としては、同じ選挙区の市議候補者との「差異」をいかにして打ち出せるのか。「二重行政」ならぬ「二重代表」ともいうべき問題があるのかもしれない。

.postCont table{ width:320px; border-right:solid 1px #000; border-bottom:solid 1px #000; margin-bottom:20px; margin:0 auto; } .postCont .tableTit{ margin:0 auto; } .postCont table th{ background:#f3d7cc; color:#000; border-top:solid 1px #000; border-left:solid 1px #000; text-align:center; padding:5px; } .postCont table tr:first-child th{ border-top:solid 1px #000; } .postCont table td{ border-top:solid 1px #000; border-left:solid 1px #000; text-align:center; padding:5px; }

:広島県議選と広島市議選の定数

選挙区名 県議の定数 市議の定数
中区 3 6
東区 3 6
南区 3 6
西区 4 9
安佐南区 5 10
安佐北区 3 7
安芸区 2 4
佐伯区 3 6
26 54

県議では2013年10月に定数が改正(安佐南区4人→5人)。
市議では2014年7月に定数が改正(南区7人→6人)。

この記事の著者

議員 NAVI

今日は何の日?

2024年10 5

「サザエさん」のテレビ放送開始(昭和44年)

式辞あいさつに役立つ 出来事カレンダーはログイン後

議員NAVIお申込み

コンデス案内ページ

Q&Aでわかる 公職選挙法との付き合い方 好評発売中!

〔第3次改訂版〕地方選挙実践マニュアル 好評発売中!

自治体議員活動総覧

全国地方自治体リンク47

ページTOPへ戻る