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女性と議会

2014.11.10 女性と議会

女性が政治を変えるとき~世界から見た日本の議会政治~

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クオータ制という選択肢

 以上のような試みを行ったとしても、実際には女性議員の数は容易に増えない。多くの女性議員が自分以外にもうひとつの議席を確保しようとしているが、実現には容易ではない。自分の年齢を考えて後継者を確保することも簡単ではない。こうした困難に直面しているのは日本の女性議員、候補者だけではない。世界中で同じような状況が存在している。
 こうした状況を打破するための方策としてクオータ制がある。選挙において比例代表制がとられていることが前提になるが、政党の候補者リストに一定の比率(多くの場合、半数)で女性候補を配置するというものである。通常は、最初に女性の候補、次は男性候補、その次は女性候補というように男女交互に並べたリストを作成することによって、当選者の半数以上を女性にする。
 クオータ制には、法的に強制する場合と政党が自発的に実行する場合がある。後者の場合、韓国のように政府が採用した政党に助成金を出す場合もある。自発的にクオータ制をとった政党は、そのことを評価した有権者によって支持が広がることが多い。北欧やドイツなどがその例であり、これらの諸国ではいったん限界に達したと思われた女性議員の比率をさらに引き上げることに成功した。韓国もクオータ制の導入によって、日本と同じだったそれまでのレベルから上昇している。
 クオータ制については、リベラルな立場からも、機会の平等性が失われるという批判がある。しかし、前述のような社会的な制約のゆえに女性が政治進出を阻まれているのが現実であるとするならば、クオータ制によって現状を打開することが必要であろう。

むすび

 本稿の冒頭に述べたセクハラ差別やじ問題を契機に、超党派の国会議員の間で女性議員を増やすための議員連盟を形成しようという動きがようやく生まれた。本年10月の設立を目指すこの「政治分野における女性の参画と活躍を推進する議員連盟」(仮称)は、2020年までに衆参両院選挙の候補者に占める女性の割合を30%にするという目標(政府の第3次男女共同参画基本計画でも明記されている)を掲げており、クオータ制の導入も検討するという
 これまでクオータ制が議論されることはほとんどなかったことを考えると、現職の議員連盟が取り上げるのは画期的だといえる。クオータ制の議論の行方を含めて、その行方を注目したいが、同時に有権者の側からも前述のような女性の政治進出のための活動を広げていかなければならない。


⑴ 五十嵐暁郎=ミランダ・A・シュラーズ『女性が政治を変えるとき 議員・市長・知事の経験』岩波書店(2012年)を参照。
⑵ http://www.gender.go.jp/research/kenkyu/sekkyoku/h20shogaikoku.html(2014年9月27日アクセス)ここで明らかにされているのは、オランダ、ノルウェー、米国、シンガポールの例である。
⑶ Suzanne Berger, “Politics and Antipolitics in Western Europe in the Seventies”, Daedalus, Winter. 1979. pp27-50. また篠原一『ポスト産業社会の政治』東京大学出版会(1982年)、同編著『ライブリー・ポリティクス』総合労働研究所(1985年)を参照。
⑷ 東京新聞2014年9月24日。

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