メディア広報戦略のポイント
対価を支払って情報を掲載してもらう「広告」とは異なり、「広報」とは、発信した情報がメディアにとって価値がある場合にのみ掲載につながるものです。
一般に、新規性、社会性、話題性などニュースバリューがあるかどうかがメディアの判断基準になりますが、行政がメディア広報に取り組む際の最大の難関が「公平性」の壁です。熱海市ではこれに対する姿勢を「とがる」という言葉で表現しました。形式的な一律の公平性を重視して街全体の価値が停滞してしまうよりも、とがったもの(発信力があるもの)を選び、企画・編集によってさらに発信力を高め、メディアで「熱海」が掲載されることで、地域全体の価値を高めることが重要、という考えです。これはメディアの要請や判断基準(=視聴者にとっての価値)に応じて素材を提供するということであり、決して行政が恣意的に情報を選択しているわけでありません。
熱海市では、外部への委託ではなく、市役所(広報情報室、観光経済課)の職員がメディア広報を実践しました。理由は、第1に地域の素材をよく知った上でメディアの視点を持ってマーケティング、ターゲッティングができること。第2に、組織にノウハウが残ること。第3に、金をかけずに知恵を絞ることで、リスク少なく挑戦できることです。
こうしたメディア広報は、「師匠」を持ってメディア広報の基本をしっかり学べば、どんな街でも、誰でも実践できます。熱海市は、福井県庁の山田賢一氏(『行政ビジネス』(東洋経済新報社、2011年)の著者のひとり)、PR戦略コンサルタントの井上岳久氏、富士市産業支援センター長の小出宗昭氏などから多くのノウハウを学びました。
その上で座学で終わらず、学んだノウハウを即実践し、覚悟を持って成功するまでやり続けることが重要です。市の発展のため、この間メディア広報に全力で取り組んでくれた本市職員に改めて感謝をしたいと思います。
●まちのプロファイル
自治体名 | 熱海市(静岡) |
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所在地 | 〒413-8550 静岡県熱海市中央町1番1号 |
担当課 | 秘書広報課/観光経済課 |
電 話 | 0557-86-6070/0557-86-6192 |
人 口 |
国勢調査人口 (伸び率) 2000年 42,936人 (△5.9%) 2005年 41,202人 (△4.0%) 2010年 39,611人 (△3.9%) (参考 住民基本台帳人口 4月1日現在) 2011年 39,828人 (△1.1%) 2012年 39,498人 (△1.1%) 2013年 39,287人 (△0.5%) |
産業構造 |
2010年国勢調査 1次産業 286人 2次産業 2,159人 3次産業 15,102人 |
標準財政規模 |
2014年度当初予算 183億8,100万円 |
関連事業予算 |
2014年度ロケ支援活動(ADさん、いらっしゃい) 予算 120千円 (人件費は除く) |