一般社団法人ポリライオン代表理事 太田佳祐
議員個人がAIを使えば、質問準備や住民対応、日々の事務作業は大きく効率化できます。一方で、議会全体を見ると、紙資料の多さ、議事録作成の負担、過去資料の探しにくさなど、まだ改善できる部分は少なくありません。
議会DXは、タブレットを導入することや、会議をオンライン化することだけではありません。資料の共有、会議記録の作成、委員会運営、住民への情報発信など、議会の仕事の流れそのものを見直す取組です。
そこで今回は、他自治体や海外の事例を参考にしながら、AIを活用して、どう議会DXを進めていくとよいのかを考えていきましょう。
議会DXが必要な理由
まずは、改めて議会DXの目的を考えていきましょう。
(1)議員活動には事務作業が多い
議事録作成も大きな負担です。録音を聞き直して発言内容や用語を確認し、公開できる形に整えるには多くの時間がかかります。正確な記録を残すために必要な作業ですが、議会事務局にとっては重い業務の一つです。
住民への情報公開も同様です。議事録や資料を公開していても、分量が多く専門用語も多ければ住民に伝わっているとはいえません。
こうした業務を見直し、議会の情報を探しやすく、使いやすくすることが、議会DXの出発点になります。
(2)AI音声認識で議事録作成の負担を減らす
この分野で参考になるのが、茨城県つくば市のAI音声認識活用です。つくば市ではAI音声認識を委員会、懇談会、市長記者会見、住民向け説明会などで活用しており、全文の文字起こし作成時間が約4割から9割削減されたという声も紹介されています。また、本庁舎の約100部署のうち30以上の部署で利用されています。
この事例から分かるのは、AI音声認識が単なる文字起こしツールではなく、会議後の事務負担を減らす手段になっているということです。録音を一から聞き直して文字にする作業が軽くなれば、職員や議会事務局は、内容確認や要点整理といった人が担うべき作業に時間を使いやすくなります。
また、文字起こしされた内容はその後の要点整理にも活用できます。会議後に、決定事項、確認事項、次回までの課題を整理すれば、委員会後の振り返りや次回準備にもつながります。
もちろん、AI音声認識の結果をそのまま正式な議事録として扱うことはできません。聞き間違い、専門用語の誤変換、発言者の確認など人によるチェックは必要です。AI音声認識は議事録作成を完全に自動化するものではなく、最初の作業負担を大きく減らす補助役として使うことが現実的です。
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