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2026.04.10 New! 議員活動

第8回 AI活用のリスク〜議員が失敗しないための安全な使い方

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一般社団法人ポリライオン代表理事 太田佳祐

 AIは議員の業務を大きく効率化できる一方で、使い方を誤ると信頼を損なうリスクもあります。特に議会質問や住民への説明においては、情報の正確性がそのまま議員の信用に直結します。
 実際に、AIが生成した内容をそのまま使用したことで、事実と異なる情報が議会の場で発信され、後に訂正が必要となる事例も出てきています。これは特別なミスではなく、誰にでも起こり得る問題です。
 AIは便利な道具ですが、正しく使うための前提を理解していなければ、思わぬ形でリスクが表面化します。本稿では、実際に起きた事例をもとに、どのような使い方が危険なのか、そして何を守れば安全に活用できるのかを整理していきます。

 実際に起きているAI活用の失敗事例

 議会でAIの情報をうのみにした失敗事例が既に発生しています。まずはどのような事例かを解説していきましょう。

(1)B市議会で起きた「AI誤情報」問題
 AI活用のリスクは理論ではなく、既に現実の議会で顕在化しています。A県B市議会では、生成AIの回答をもとに一般質問を行ったC市議が、後に事実関係に疑義が生じたとして発言を取り消す事態が発生しました。  C市議は、市が約10年にわたり過大徴収していた児童クラブの利用手数料について、時効分を返還しない方針を問題視した質問の中で、AIの情報を根拠に「他自治体で返還した事例がある」と指摘し、市に対応を求めました。
 しかし、その後市側が実際に該当するとされた自治体に確認を行ったところ、少なくとも2自治体において返還の事実は確認できず、AIが提示した情報の正確性に疑義が生じることとなりました。この結果、市議は発言の取消しを申し出て認められ、該当部分は議事録から削除されることになりました。
 このケースの重要な点は、AIが「完全に誤った情報を出した」という点だけではありません。問題の本質は、AIが出力した情報がもっともらしく整っていたために、そのまま裏取りを行わずに使用してしまったことにあります。
 実際に本人も「AIの内容をうのみにしてしまった」、「本会議直前に得た情報を信用してしまった」と述べており、時間的制約の中で確認を省略してしまったことが背景にあると考えられます。
 AIは確かに情報収集の幅を広げる一方で、その情報の正確性を担保する仕組みは持っていません。そのため、議会という公的な場で使用する場合には、従来以上に情報の裏取りが求められることになります。
 この問題は単なる「ミス」で終わる話ではありません。議会での発言は記録として残り、住民に対する説明責任とも直結します。今回のように議事録から削除されるという対応は、議会としても異例の措置であり、AI活用のあり方が問われる契機となりました。

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太田佳祐(一般社団法人ポリライオン代表理事)

この記事の著者

太田佳祐(一般社団法人ポリライオン代表理事)

地方議員として地域課題に取り組む中で、政治分野におけるハラスメント問題に直面。これを社会課題として捉え、政治分野のハラスメントに関する啓発と制度的な解決を目的に、一般社団法人ポリライオンを設立。2021年には実態調査に基づく『政治家ハラスメント白書』を発表し、第17回マニフェスト大賞「コミュニケーション戦略賞 最優秀賞」を受賞。2024年からは行動変容を伴走し支援できる人材を育成するため、一般社団法人日本アカウンタビリティ・パートナー協会を設立。代表理事として、多様な自治体・議会改革の現場で“アカウンタビリティ・パートナー”の手法を活かした行動支援・組織変革を行っている。 また、AIハラスメントチェッカーの開発をきっかけにAIの分野に参入。AIの社会実装とリテラシー普及にも精通しており、議会・行政・教育現場へのChatGPT等の導入や活用支援を実施。地方議員向けに「AI活用連載記事」を継続的に執筆し、デジタルと伴走型支援を組み合わせた地域課題の解決手法を提案している。 地方議会におけるハラスメント防止研修や、AI・DXを活用した政策立案・議会改革の研修講師としても多数登壇。実務と制度改革をつなぐハイブリッドな視点で活動を展開している。

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