東京大学大学院法学政治学研究科/公共政策大学院教授(都市行政学・自治体行政学) 金井利之
はじめに
前回(第68回=2025年11月25日号)において、自治体の中に着目して機関の多元性を論じた。自治法制では、自治体(地方公共団体)は、法人格を持つ組織でもあるが、団体として機関(器官)に分解される。それは、議事機関と執行機関であり、それぞれに補助機関が存在する。一応は、団体の対外的な意思決定を行うのが議事機関と執行機関であり、補助機関は議事機関・執行機関を補助するものである。とはいえ、個別法制などの授権・制度によっては、補助機関であっても団体の意思決定をすることはできる(1)。逆に、議事機関又は執行機関も、単独では意思決定をできないこともある。その意味では、議事機関・執行機関と補助機関の差異は相対的である。
こう考えると、実際に団体としての自治体を分解していった単位組織は、どのようになっているのかは、自治法制では表現し尽くせない。しかし、個別法制を子細に検討すれば、単位組織が分かるとも限らない。自治体が、いかなる多数の単位組織に分解され、逆に、いかなる多数の単位組織間関係として成立しているかは、どのように分解・分析するかに依存する。他方で、行政に関わる多くの関係者の中で、一定の組織のまとまりとして了解されている範囲が、おぼろげに存在している面もある。そこで、今回は、境界が必ずしも明確ではなく、また、境界を画定する根拠も一義的ではないものの、ある程度の単位組織として認識されている組織を単位組織として、自治体を分解してみたい。
自治体は、多数の単位組織から構成され、多元性を特徴とするものである。ただ、しばしば、単位組織間関係が疎遠なこともある。その意味では、単位組織間関係のこともあれば、単位組織間無関係のこともある。
(1) 例えば、建築主事は建築基準法制によって、単独で建築確認という意思決定を行うことができることが多い。建築主事は、組織・団体としては、執行機関である首長の補助機関であり、首長の指揮監督を受けるが、建築確認において首長を補助する必要はない。首長に建築確認の権限はないからである。なお、一定の案件に関しては、首長が「特定行政庁」として意思決定する。しかし、これは個別法での権限分配であり、特定行政庁と建築主事は基本的に同格である。
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