弁護士 尾畠弘典
事故車であることが隠されて購入した車の契約を取り消すことはできるか。
自動車を中古で購入した際、購入時には知らされていなかった事故歴(車両の骨格部分の損傷や修復歴があること)が後から判明した場合、自動車の売買契約を取り消すことができる可能性が高い。
1 消費者契約法に基づく契約取消し
消費者契約法は、消費者と事業者の間の情報格差を是正し、トラブルから消費者を保護する趣旨で制定され、平成13年より施行されている。この法律は、消費者すなわち個人(事業として又は事業のために契約当事者になる場合を除く)と事業者の間で交わされる労働契約を除く全ての契約に適用される(消費者契約法1条、2条1項、48条)。
消費者契約法上、事業者が消費者との契約に際して虚偽の説明をしたり、重要な事実を意図的に隠すことで消費者を誤解させ、その結果契約に至った場合、消費者はその契約を取り消すことが可能となる。
設問については、個人が非事業目的で事業者から自動車を購入したということであれば、事業者の行為は不実告知(消費者契約法4条1項1号)ないし重要事項の不告知(同条2項)に当たり、消費者が事故車ではないと誤解したために当該契約をした場合には、消費者は当該契約を取り消すことができる。取り消した場合には、既払いの売買代金の返還を求め得る。
なお、消費者が誤認に気づいて追認できる状態になった時から1年を経過するか、契約締結から5年を経過したときは、当該取消権は時効消滅する(同法7条1項)。
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