東京大学大学院法学政治学研究科/公共政策大学院教授 金井利之
はじめに
自治体は、人間、財源、権限、情報などの各種資源を、外部に依存した調達・収集、内部で加工・調合、外部へ利用・行使する資源変換によって、活動を行っている(1)。このように資源を変換することは、自治体による意思決定であり、自治体は資源をめぐる意思決定を行う。自治体として意思決定をすることで、その意思決定に、自治体の各種資源配分は自治体に従属することになる。各種資源が従属するがゆえに、自治体は組織として成立する。自治体の意思決定に対して、自治体の各種資源が服従しなければ、自治体の意思決定は実行されないから、いわば「絵に描いた餅」であり、空想や妄想にすぎない。自治体の資源が自治体の意思決定に服従しなければ、自治体は組織の体をなさない。
自治体の意思決定のためにも、人間、財源、権限、情報などの各種資源が利用される。資源の存在・保有は、あるいは資源を依存させることは、権力の源泉であり、そうした権力(資源依存)関係を反映して意思決定がされる。つまり、組織は自己循環過程である。組織では、各種資源に基づいて意思決定がされ、その意思決定に従って各種資源が変換され、資源を調達・収集し、その資源に基づいて意思決定がされる……という具合である(図1)。組織は、どこか固定的な出発点があるとか、資源の固定的な集合というよりは、いつからか始まった資源変換の循環(再生産)過程である。もっとも、資源変換の循環が止まることがあるから、組織の持続性は保障されているわけではない。
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