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2024.09.25 New! 議員活動

第14回 選挙と議会・議員

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元・大和大学政治経済学部教授 田中富雄

 本稿では、「選挙と議会・議員」と、これらに関する事項について再考します。そして、その上で政策過程において、これらの言葉を発するときの「自治体議員の発言に期待される含意と政策」について考えたいと思います。

選挙を活かそう!──〈選挙は人々がつくり上げてきた安心の政府構成手続です〉

 選挙制度が永遠に不完全(未完)であることから、選挙以外にも様々な政治の回路が必要となります。しかし、選挙は有意義です。松下圭一がいうように、基本法(国レベルでは憲法)〔( )内は筆者補〕が予定する選挙も市民型人間を想定すれば〈市民自治〉による革命の日常制度化としての政府構成手続となります。選挙であれば、多くの革命と異なり血を流さずにすみます(松下 1991:354)。ここで注意すべきは、松下は選挙であれば、いつも血を流さないといっているのではないということです。松下は、「基本法が予定する選挙も市民型人間を想定すれば」と条件を付けています。選挙に関係し血を流した事件は、残念ながら古今東西で発生しています。私たち市民や政治家(議員・首長)には、人として成熟と洗練を目指すことが必要となります

選挙と市民・政治家の意識/心構え

 選挙人(≒市民)には、政治家に対する「依存力(=人の力を借りる力)」が求められます。ここでいう依存力というのは、樋口恵子がいうように「ただ人に甘えるというのではなく、きちんと自分の状況を人に伝えて、なおかつ自分と他者との関係のなかで失礼にならないように、どうしてほしいか的確に伝える能力も含まれる」のではないでしょうか(樋口=和田 2024:93)。そして、樋口は「誰か助けてくれるのを期待して待っているのではなく、自分からオープンにかかわっていくという姿勢が大切」(樋口=和田 2024:93)であるともいっています。
 他方、政治家は、「政治家の使われ上手」といわれるように、市民に上手に使われることが大切です。市民に上手に使われるためには、政治家は市民とのコミュニケーションを増やすことが必要です。ただし、コミュニケーションを増やすといっても、なるべく市民の負担にならないように工夫することが求められます。そこでは、ダイレクトな話し合いに限らず、ICTやチラシなどの活用も求められます。
 このような選挙人や政治家の意識/心構えが、人としての成熟と洗練につながります

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田中富雄(元・大和大学政治経済学部教授)

この記事の著者

田中富雄(元・大和大学政治経済学部教授)

1955年生まれ。三郷市(埼玉県)出身。三郷市職員を経て、2017年4月から大和大学政治経済学部准教授、2019年4月から同教授。2020年3月病気のため大和大学を退職。龍谷大学大学院政策学研究科博士後期課程修了。博士(政策学)。専門・研究分野は、基礎自治体の統制/基礎自治体の経営。特に、自治体政府(議会・首長)、自治基本条例、総合計画、公共政策、まちづくりに関心がある。主な論文は、「議会における「議論の可能性」-三郷市自治基本条例を事例として」(村田和代編『これからの話し合いを考えよう (シリーズ 話し合い学をつくる 3)』、ひつじ書房、2020年)、「自治体計画に対する議会の制御」(廣瀬克哉編『自治体議会改革の固有性と普遍性』、法政大学出版局、2018年)、「自治基本条例の成立と展開」(龍谷大学博士学位申請論文、2014年)。

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