元・大和大学政治経済学部教授 田中富雄
本稿では、「直接民主制と間接民主制」と、これらに関する事項について再考します。そして、その上で政策過程において、これらの言葉を発するときの「自治体議員の発言に期待される含意と政策」について考えたいと思います。
直接民主制と間接民主制のメリット・デメリット
待鳥聡史によれば、近代において、より大きな政治体が民主主義体制をとるために、議会が活用されたことは確かです(待鳥 2015:21)。もちろん今日においても議会は必要です。ここでは、はじめに直接民主制と間接民主制(≒議会)のメリット・デメリットを整理してみましょう(表1参照)。
日本の自治制度においては、間接民主制をとっているものの、後述するように直接民主制の仕組みを一部取り入れています。直接民主制のデメリットは直接民主制の限界でもあり、間接民主制のデメリットは間接民主制の限界です。他方、直接民主制のメリットと間接民主制のメリットは、これら二つの民主制を連携させたときの可能性を見せてくれます。
すなわち、直接民主制も間接民主制も、その一方だけでは不十分といえます。それは、直接民主制も間接民主制もそれぞれは理念型にすぎないといえるからです。現実には、両者の仕組みが互いに絡み合う(混在する)ことで、その機能を発揮できるのです。
出典:筆者作成
表1 直接民主制と間接民主制のメリット・デメリット
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