元・大和大学政治経済学部教授 田中富雄
本稿では、「民主主義と議会②─熟議、闘技、深まる民主主義、参加民主主義の条件、市民と歩む議会」と、これらに関する事項等について再考します。そして、その上で政策過程において、これらの言葉を発するときの「自治体議員の発言に期待される含意と政策」について考えたいと思います。
熟議の例──市民投票における意見変容
市民投票においても、通常の選挙でも、その他の決定においても、投票の前にみんなで情報を共有し、じっくりと議論する過程を入れてみようというのが、熟議民主主義の発想です。宇野重規が述べるように、議論を丁寧にすることによって、投票結果が変わることが実験でも明らかになっています(宇野 2022:145)。このことは、慶應義塾大学DP(討論型世論調査)研究センターのホームページに掲載されている討論型世論調査[deliberative poll:DP]の内容からも確認できます。図1は、市民投票を例にとり、その過程を整理したものです。詳細は図に示したとおりですが、狭義の「意見変容」を含む広義の「意見変容」が投票結果に影響を与えることになります。
図1 市民投票における主体別(登壇者・参加者・非参加者)の「意見変容」パターン
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