かわさきジャズ実行委員会/「音楽のまち・かわさき」推進協議会 、公益財団法人川崎市文化財団事業課担当係長 前田明子
第2回、第3回の松木氏の連載では、“自分たちのまちは、自分たちでつくる”という活動的な人々=活動人口(地域に対する誇りや自負心を持ち、自身のスキルや知見をまちに還元するまちづくりの主体となる人々)が増えることが、人口減少社会における持続発展可能なまちづくりに寄与すると提唱され、さらにその創出につながる三つの要素「人的資本の呼び込み」、「価値共創」、「自分ごと化」に基づく四つのステップによる活動人口創出のフレームワークが示された。
本稿では、この松木氏の論を受けて、地域の質的な変化をもたらすベースとなりえる文化芸術の可能性について言及する。
はじめに
筆者は、行政との協働による文化事業を数多く行ってきた経験から、市民参加型のいきいきとした地域づくりには地域の文化活動の厚みを増やしていくことこそ必要であると考えている。今回と次回は、国の文化政策も文化振興から文化づくりへと大きく転換する中で、音楽を活用するまちづくりの比較的新しい事例をひも解きながら、文化事業を推進することでどのような効果が期待できるのか、あるいは地域貢献に資する文化事業のはじめ方とはどのようなものかという視点を提示していきたい。
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