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2022.08.25 政策研究

第12回 「対話」により「議会基本条例」の評価・検証を行うことで条例の原点に立ち戻る

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青森大学社会学部教授/早稲田大学マニフェスト研究所招聘研究員 佐藤 淳

《今回のキーワード》

  • 議会基本条例
  • 議会基本条例の評価・検証
  • 問題と問題意識
  • ワールドカフェ
  • 対話


 

【SHORT STORY】


 第27条 議会は必要に応じて、この条例の目的が達成されているかどうかを検証するも
           のとする。

 


 「江上君、議会基本条例のこの条文、あなたはどう思う?」。ここち市議会初の女性議会事務局長の田島が、若手事務局職員の江上の席の脇に急に現れてボソッとつぶやく。
 「勉強不足ですみません。こんな条文があることを初めて知りました。でも、必要に応じてって、みんな面倒くさいから絶対やらないですよね。最低、2年に一度、4年に一度って制約つけていないと」。
 「そう、この条文だと“放置プレー”になるね。わざとそうしているのかもしれないけど」。隣に座る山田次長が嫌みっぽく話に割って入ってくる。
 「ここち市議会の議会基本条例が制定されたのは、今から12年前の2010年。北海道の栗山町議会で全国初の議会基本条例が制定されて4年後。実は、制定は県内初だったのよ」。田島局長は感慨深そうに話す。
 「局長は確か当時も議会事務局にいらっしゃいましたよね」、と山田次長。
 「はい、私は今回で事務局3回目。当時のここち市議会は活気があったのよ。私も一緒に栗山町議会に視察に行ったわ。そうそう、赤平議員はススキノ、ススキノってうるさかったけどね。もうそのときの議員の方の半分以上が引退してしまったな~。私も年をとったわけだ」。
 「局長、もしかして、ここち市議会では議会基本条例を制定して12年間、この条文があるのに、条例の検証をやってないんですか。評価・検証って、PDCAのマネジメントサイクルでいうと、C、チェックの部分。議会活動を改善するには肝になるところじゃないですか」。
 田島局長は、江上の前向きな発言に対してニコッと笑みを浮かべ、後ろを向き足早に事務局長室に戻っていった。
 ①議会基本条例の評価・検証を規定した条文

議会基本条例の評価・検証を規定した条文

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佐藤淳(青森大学社会学部教授/早稲田大学マニフェスト研究所招聘研究員)

この記事の著者

佐藤淳(青森大学社会学部教授/早稲田大学マニフェスト研究所招聘研究員)

青森大学社会学部教授、早稲田大学マニフェスト研究所招聘研究員。 1968年青森県十和田市生まれ。早稲田大学商学部卒業後、さくら銀行(現三井住友銀行)入行。法人部門を中心に12年間勤務後退職。日本社会事業大学大学院福祉マネジメント研究科修了、社会福祉士。早稲田大学大学院公共経営研究科修了。マニフェスト型選挙、地方自治体の組織開発、地方議会改革、市民協働のまちづくり、シチズンシップ教育のテーマで研究と実践を行う。 共著に「スピード開票実践マニュアル」(ぎょうせい)、「点描~変わりゆく現代社会」(ぎょうせい)、「あなたにもできる議会改革」(第一法規)、「実践学校模擬選挙マニュアル」(ぎょうせい)、「議会改革実践マニュアル」(第一法規)等。

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