青森大学社会学部教授/早稲田大学マニフェスト研究所招聘研究員 佐藤 淳
《今回のキーワード》
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【SHORT STORY】
第27条 議会は必要に応じて、この条例の目的が達成されているかどうかを検証するも のとする。 |
「江上君、議会基本条例のこの条文、あなたはどう思う?」。ここち市議会初の女性議会事務局長の田島が、若手事務局職員の江上の席の脇に急に現れてボソッとつぶやく。
「勉強不足ですみません。こんな条文があることを初めて知りました。でも、必要に応じてって、みんな面倒くさいから絶対やらないですよね。最低、2年に一度、4年に一度って制約つけていないと」。
「そう、この条文だと“放置プレー”になるね。わざとそうしているのかもしれないけど」。隣に座る山田次長が嫌みっぽく話に割って入ってくる。
「ここち市議会の議会基本条例が制定されたのは、今から12年前の2010年。北海道の栗山町議会で全国初の議会基本条例が制定されて4年後。実は、制定は県内初だったのよ」。田島局長は感慨深そうに話す。
「局長は確か当時も議会事務局にいらっしゃいましたよね」、と山田次長。
「はい、私は今回で事務局3回目。当時のここち市議会は活気があったのよ。私も一緒に栗山町議会に視察に行ったわ。そうそう、赤平議員はススキノ、ススキノってうるさかったけどね。もうそのときの議員の方の半分以上が引退してしまったな~。私も年をとったわけだ」。
「局長、もしかして、ここち市議会では議会基本条例を制定して12年間、この条文があるのに、条例の検証をやってないんですか。評価・検証って、PDCAのマネジメントサイクルでいうと、C、チェックの部分。議会活動を改善するには肝になるところじゃないですか」。
田島局長は、江上の前向きな発言に対してニコッと笑みを浮かべ、後ろを向き足早に事務局長室に戻っていった。
議会基本条例の評価・検証を規定した条文
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