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2022.06.27 政策研究

第11回 議会からの「政策サイクル」におけるオンライン視察・研修の活用の意義

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青森大学社会学部教授/早稲田大学マニフェスト研究所招聘研究員 佐藤 淳

《今回のキーワード》

  • 議会からの「政策サイクル
  • オンライン議会報告会
  • オンライン視察
  • オンライン研修


 

【SHORT STORY】

 「コロナも落ち着いてきているので、今年度はそろそろ視察を復活しなければならないな」。総務常任委員会の終了間際に、ここち市議会の重鎮、青木議員がボソッと発言した。間髪入れずに、青木議員と同じ会派で腰巾着の赤平議員が、「そうです、そうです。しばらく東京に行っていませんし。『鎌倉殿』の舞台になっている鎌倉にも行きたいですね」。「山田次長、東京、神奈川方面で適当な視察先、見繕っておいてよ~」。「かしこまりました。ついでに青木議員のお好きな両国国技館もセットしておきます」。「さすが次長、気が利くね~」。山田次長は、数年前、その年の大河ドラマの舞台ともなった鹿児島の奄美大島、沖永良部島への視察をコーディネートして、大河好きの赤平議員からは絶大なる信頼を得ている。他会派の委員も、場所には異論がありそうだが、視察に行くこと自体にはおおむね賛同しているようだ。
 「委員長、発言いいですか」、若手の改革派の古江議員が手を挙げる。「先進地を視察するのは大事なことだと思いますが、行く先ありきではなくて、何を調査研究するかが先なのではないですか」。「今、我が委員会の所管事務の中で一番重要なのは、将来の公共施設のあり方の問題。この分野での先進地に行かないと、税金の無駄遣いになってしまいますよ」。
 「委員長」、山田次長が手を挙げる。「古江議員、ご心配なさらずに。その辺は担当の江上君がしっかり段取りしますのでご安心を」。
 「コロナ禍で、先進議会では、オンラインの視察や研修を実施しているところもありますよ」。古江議員は食い下がろうとするが、青木議員の不機嫌そうな態度が伝播(でんぱ)して、委員会室にはどんよりした雰囲気が広がる。古江議員もそれには抵抗できずに、続きの言葉を飲み込んだ。
 委員会が終わり議会事務局の執務室に戻ると、早速、山田次長が大きな声で、「江上君、視察の件、後はよろしくね。俺も鎌倉行くのが楽しみになってきたぞ」。「はい」。若手事務局職員の江上は、気乗りしない返事をしながらパソコンを立ち上げ、「公共施設マネジメント 神奈川」で検索を始める。「視察は、議員さんに気を使うので、苦手なんだよな……」。

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佐藤淳(青森大学社会学部教授/早稲田大学マニフェスト研究所招聘研究員)

この記事の著者

佐藤淳(青森大学社会学部教授/早稲田大学マニフェスト研究所招聘研究員)

青森大学社会学部教授、早稲田大学マニフェスト研究所招聘研究員。 1968年青森県十和田市生まれ。早稲田大学商学部卒業後、さくら銀行(現三井住友銀行)入行。法人部門を中心に12年間勤務後退職。日本社会事業大学大学院福祉マネジメント研究科修了、社会福祉士。早稲田大学大学院公共経営研究科修了。マニフェスト型選挙、地方自治体の組織開発、地方議会改革、市民協働のまちづくり、シチズンシップ教育のテーマで研究と実践を行う。 共著に「スピード開票実践マニュアル」(ぎょうせい)、「点描~変わりゆく現代社会」(ぎょうせい)、「あなたにもできる議会改革」(第一法規)、「実践学校模擬選挙マニュアル」(ぎょうせい)、「議会改革実践マニュアル」(第一法規)等。

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