関東学院大学法学部准教授/社会構想大学院大学特任教授 牧瀬 稔
本稿は、地方自治体が注目する関係人口を考察の対象とします。関係人口の定義、推計値など基本的な情報を提供し、その後、持論である関係人口の4類型に加え、関係人口の一類型である「活動人口」に価値を見いだし、今後の展望を記しています。
本稿は関係人口の基礎的情報を周知するとともに、読者に対する問題提起も含んでいます。
1 関係人口の定義
近年、地方創生の文脈で注目される概念に「関係人口」があります。総務省の「これからの移住・交流施策のあり方に関する検討会報告書(概要)」では、関係人口とは「移住した『定住人口』でもなく、観光に来た『交流人口』でもない、地域や地域の人々と多様に関わる者」という趣旨で明記されています。しばしば関係人口は「交流人口以上定住人口未満」といわれます。
同報告書(概要)は、関係人口に着目する理由として「地方圏は、人口減少・高齢化により地域づくりの担い手不足という課題に直面しているところ、地域によっては若者を中心に、変化を生み出す人材が地域に入り始めており、『関係人口』と呼ばれる地域外の人材が地域づくりの担い手となることが期待できる」と記しています。関係人口の一つの役割に、地域づくりの担い手となることが期待されていることが分かります。
ちなみに、以前から自治体の現場では「応援人口」という言葉が使われていました。応援人口とは「当該地域や自治体を応援したい人口」のことです。
また、国土交通省には協働人口という概念があります(「新たな『国土のグランドデザイン』」)。協働人口とは「地域や自治体の多様な主体と一緒に地域づくりをする人口」です。応援人口も協働人口も「当該自治体のファン」と捉えることができます。これらの概念は、関係人口に類似しているといえます。
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