中央大学法学部 礒崎初仁
はじめに
いま自治体議会は危機に直面している。2019年春の統一地方選挙では、都道府県議会と町村議会で無投票当選が増え、議員のなり手不足が話題になったし、全体に選挙の投票率も低下した。議会に対しては、住民から、十分な役割を果たしていない、報酬や政務活動費が高すぎるといった批判が強かったが、批判は期待の裏返しともいえた。しかし最近の状況は、議会には期待も関心も持っていない住民が多数になったことを示しているように思われる。議員が「特殊な人々」とみなされ、地域社会から遊離した存在になりつつあるとすれば、「自治」にとって深刻な問題である。
こうした危機を克服するには、議会が政策形成機能を発揮して、「役に立つ」ことを示す必要がある。特に少子高齢化と人口減少によって、地域の活力が失われ生活条件も悪化して、自治体には多くの課題への対策が求められている。
そのためには、議会による政策形成機能の強化が必要であるが、同時に議会事務局がこうした取組みをサポートし、改革を支えることが不可欠である。従来、事務局は議事と庶務を担当する受け身の組織のように思われてきたが、議会が置かれている状況を考えると、議会の政策形成を積極的に担える事務局が求められるのではないか。
人口急減時代に議会事務局がどうあるべきか、固定観念にとらわれず考えてみよう(以下は、礒崎 2017、礒崎 2019、礒崎 2020を基礎としつつ、議会事務局の役割に焦点を当てて検討したものである)。
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