法政大学法学部教授 土山希美枝
前回は、議会が個別事業をはじめとした自治体〈政策・制度〉を制御する過程を整理しつつ、その〈争点〉ルートとしての一般質問の可能性について指摘した。「政策議会」にとって一般質問が「議員ひとりのもの」にとどまる実態になっていることは、大いに「もったいない」ことだといっていい。自治体〈政策・制度〉の現状の課題、問題を他の議員と共有し、執行部の見解も確認できる。そこで終わるのではなく、その「先」のルートを用意する。議員→委員会(→議会)という議会の「政策議会」の意思形成につなげることを、事例とともに考察してみよう。なお、筆者は2019年12月に、議会技術研究会共同代表・元芽室町議会事務局長の西科純氏とともに同議会の議会サポーターに着任しているが、そのこと自体は本稿に影響していないことを付言しておきたい。
北海道別海町議会「一般質問検討会議」
別海町議会の「一般質問検討会議」は、簡単にいえば、「通告書段階の一般質問を議員全員で検討する機会」だ。
別海町議会では、通告書段階で一般質問の内容を相当に(小項目程度の)具体化したものを行政側に提出する。その前段で、議会事務局が集約する。その、議会事務局に集約する段階で、1日あるいは午後半日を使い、その通告書をベースに一般質問を、質問する議員だけでなく議員全員の参加によって検討する。
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