法政大学法学部教授 土山希美枝
「議会の成果」を改めて考える
すでに多くの議会で採択された議会基本条例は、制定時から年数がたち、あるいは定期的な見直し条項が機能し、見直しとともに議会の活動や成果を評価する取組みも増えている。そのこと自体、議会改革にとって重要なことだ。
一方、筆者の立場からは、そのとき、「議会の成果」が何かということはもっと意識されていいと感じる。市民との対話の回数も、研修による能力の伸長もそれぞれ大事だが、それらは、議会改革は結局のところ、議会の本来の「成果」につなげるための方法であるはずだ。
その「議会の成果」とは、つまりはヒロバとしての議会によって行われる、自治体〈政策・制度〉の「制御」だといえる。
さて少し説明を加えよう。「ヒロバ」という意味については、前回の記事を参照されたい。正解がなく、利害や価値観に関わる政策資源の配分は、「なぜそう決まっていくか」は、代表者がというだけではなく、広く開かれた場によって決まっていくことが求められる。
そして原点から見れば、自治体、国もだが、その最も重要な役割は、こんにちの社会に生きる人々に「必要不可欠(ミニマム)」な〈政策・制度〉を整備することであることを、誰もが認めるだろう。「必要不可欠(ミニマム)」だから、その資源は人々から集められることが正当化される。それを〈政策・制度〉として決定し、配分し、実現する権限が、選挙を通じて議会と首長に信託されている。議会と首長は信託されたそれぞれ異なる権限を行使する。両者の権限は交錯(関係)し合い、その結果として自治体〈政策・制度〉が「制御(コントロール)」されている(図1)。この〈政策・制度〉、個々の〈政策・制度〉とその総体が、市民の信託に対して自治体が用意する「成果物」である。
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