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2021.06.25 政策研究

第15回 中心性(その1)

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東京大学大学院法学政治学研究科/公共政策大学院教授 金井利之

中心性(center)と周辺性(periphery)

 自治体にとって、地方性は多義的であることは、前回まで縷々(るる)述べたところである。地方性は、何と対置又は対比されるかによって、いろいろな姿を見せるからである。すでに述べたように、地方が対置されるものとして、国(または国家)や都市(または都会)がある。前者は政治行政の中心であり、しばしば、中央政府とも呼ばれている。後者は、資本主義市場経済の中での経済活動の中心である。
 政治行政の中心は「都」であり、経済の中心は「市」である。政治行政の中心と経済の中心が重複することもある。つまり、「都」と「市」が重なったところに、日本語的な「都市」が成立する。そして、政治行政の中心や経済の中心は、権力や富の集積をもたらし、社会・文化・情報などの人間の諸活動の中心となることもある。
 もちろん、社会や文化と、政治行政や経済との中心が重ならないこともありうる。江戸体制の基本的なイメージは、政治の中心である公儀(将軍)所在の江戸と、「天下の台所」という経済の中心である大坂と、伝統的権威の中心を体現する天皇が所在する京都と、三つの中心があったように描くこともある。社会・文化活動は、経済や政治の権力に支えられて再生産が可能になるので、京都の専有物ではなく、大坂(上方)や江戸にも花開く。あえていえば、江戸は政治首都、大坂は経済首都(商都)、京都は権威首都(皇都)となる。
 しかし、江戸東京四百年の歴史の中で、「東京」への改称と天皇の東京行幸(「帝都」)や、関西系企業の本社の東京移転などによって、次第に東京一極集中の様相を来してきた。このように見れば、今日の東京体制では、東京が政治行政・経済・社会・文化・情報のすべてを集積した中心となる。中心が一つであれば、それ以外はすべて周辺となる。

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金井利之(東京大学大学院法学政治学研究科/公共政策大学院教授(都市行政学・自治体行政学))

この記事の著者

金井利之(東京大学大学院法学政治学研究科/公共政策大学院教授(都市行政学・自治体行政学))

東京大学大学院法学政治学研究科/公共政策大学院教授 1967年群馬県生まれ。東京大学法学部卒業。 東京都立大学助教授、オランダ国立ライデン大学社会科学部行政学科客員研究員、東京大学助教授を経て、06年より現職。 専門は自治体行政学・行政学。主な著書に『自治制度』(2008年度公共政策学会賞受賞)、『原発と自治体』(2013年度自治体学会賞受賞)等。

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