地方自治と議会の今をつかむ、明日につながる

議員NAVI:議員のためのウェブマガジン

『議員NAVI』とは?

検索

2021.06.25 政策研究

【第4回】手ごわい学校再編の問題を「対話」で解決する~静岡県牧之原市の取組み~

LINEで送る

早稲田大学マニフェスト研究所招聘研究員 佐藤 淳

《今回のキーワード》

  • 少子化
  • 学校再編
  • 対話
  • ワークショップ
  • 市民ファシリテーター

「手ごわい問題」は「対話」で解決する

 世界的なファシリテーターで、南アフリカのアパルトヘイトの問題や、コロンビアの内戦等、様々な社会問題や国際紛争を解決へと導いたアダム・カヘン氏の著書に『手ごわい問題は、対話で解決する』(ヒューマンバリュー、2008年)というものがある。
 「対話」とは、お互いの意味付け、解釈、想定を確認し合う話し合いである。意味の共有は、お互いがつながるきっかけをつくる。自分の解釈を保留し、相手の立ち位置に視座を転換することで、気づきが生まれ、自分の思い込みを手放せる。対話とは、互いの想定を超えて新しいものを一緒に創造するプロセスでもある。今の時代、変化が速く複雑性が高まり、誰も答えを知らない事態が多い。異なる見解や要求を融合しなければ事態は改善しない。そして物事を前へ進めていくには、当事者意識が必要だ。従来型の話し合いのやり方では成果が出ない。今こそ、地域での対話が求められている。
 現在、地域が抱える「手ごわい問題」の一つは、少子化の問題だ。厚生労働省の人口動態統計(2021年6月、概数)によると、2020年の出生数は、新型コロナウイルスの感染拡大の影響もあってか、前年比2万4,407人減の84万832人と過去最低を記録している。第二次ベビーブームの1973年の出生数は209万人。50年前の4割の水準である。
 少子化に起因して起きる問題が、地域の学校のあり方の問題である。文部科学省は、2015年1月、「公立小学校・中学校の適正規模・適正配置等に関する手引」をまとめ、少子化に対応した学校規模の適正化は全国的に大きな課題とし、市町村における主体的な検討を求めている。しかし、地域の学校は、地域コミュニティの核としての性格も有しているため、教育的な観点だけではなく、地域の様々な事情を総合的に考慮しなければならない問題だ。デリケートで、難しい問題であり、検討が必ずしも進んでいない市町村が多い。
 今回は、地域の学校再編という「手ごわい問題」を、「対話」による丁寧な話し合いの積み重ねで解決しようとしている静岡県牧之原市の取組みを紹介する。
chihoujichinoima_ph01

牧之原市の風景

つづきは、ログイン後に

『議員NAVI』は会員制サービスです。おためし記事の続きはログインしてご覧ください。記事やサイト内のすべてのサービスを利用するためには、会員登録(有料)が必要となります。くわしいご案内は、下記の"『議員NAVI』サービスの詳細を見る"をご覧ください。

佐藤淳(青森大学社会学部教授/早稲田大学マニフェスト研究所招聘研究員)

この記事の著者

佐藤淳(青森大学社会学部教授/早稲田大学マニフェスト研究所招聘研究員)

青森大学社会学部教授、早稲田大学マニフェスト研究所招聘研究員。 1968年青森県十和田市生まれ。早稲田大学商学部卒業後、さくら銀行(現三井住友銀行)入行。法人部門を中心に12年間勤務後退職。日本社会事業大学大学院福祉マネジメント研究科修了、社会福祉士。早稲田大学大学院公共経営研究科修了。マニフェスト型選挙、地方自治体の組織開発、地方議会改革、市民協働のまちづくり、シチズンシップ教育のテーマで研究と実践を行う。 共著に「スピード開票実践マニュアル」(ぎょうせい)、「点描~変わりゆく現代社会」(ぎょうせい)、「あなたにもできる議会改革」(第一法規)、「実践学校模擬選挙マニュアル」(ぎょうせい)、「議会改革実践マニュアル」(第一法規)等。

Copyright © DAI-ICHI HOKI co.ltd. All Rights Reserved.

印刷する

今日は何の日?

2024年 425

衆議院選挙で社会党第一党となる(昭和22年)

式辞あいさつに役立つ 出来事カレンダーはログイン後

議員NAVIお申込み

コンデス案内ページ

Q&Aでわかる 公職選挙法との付き合い方 好評発売中!

〔第3次改訂版〕地方選挙実践マニュアル 好評発売中!

自治体議員活動総覧

全国地方自治体リンク47

ページTOPへ戻る