慶應義塾大学大学院法務研究科客員教授 川﨑政司
1 政治倫理とは
政治倫理は、政治家個人の姿勢や判断の問題であり、法令で規制すべき問題ではないとの言もいまだ聞かれないではないが、政治倫理は、単なる道徳ではなく、政治に携わる者がもつべき職業倫理ないし責任倫理であり、政治を行うにあたっての行動規範となるものである。
そこでは、その地位や権限を私的利益のために利用したり、職務の公正さを損なうような行為をすることなどが禁止される。政治倫理は、しばしば「政治とカネ」の問題として語られ、腐敗や汚職などが問題とされてきた。
政治は、公権力や公の意思の決定にかかわるものであり、いやしくも国民や住民の不信を招かないようにするためにも、それに携わる者には、ルールの遵守と厳しい自制が求められているといえるが、政治倫理が遵守されるためには、それを個人の判断に委ねるだけでなく、それを監視し、その違反行為に対し適切かつ迅速に処置するシステムが必要となってくる。政治倫理は決して法的な規制がなじまないものではなく、実際にも、大きな政治的なスキャンダルが生じるたびに制度の整備・規制の強化がなされ、様々な観点から法的な規律などが行われてきている。
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