慶應義塾大学大学院法務研究科客員教授 川﨑政司
1 協賛機関から立法機関への脱皮
自治体議会を立法機関と捉える見方は、地方分権の進展により議会の役割の重要性が認識されるに伴い、一般化するようになってきている。しかし、これまでと実態が変わらないのであれば、執行部の協賛機関と呼ばれても仕方がないといえるだろう。自治立法の重要性が増すに従い議会も対応を迫られているのであり、名目だけでなく、議会自らが立法機関へと脱皮を図ることが求められている。
ただし、そのことは、議会改革をめぐりしばしば語られるように、議会が政策形成の中心的な主体として自治立法を全般的・完結的に担っていくことを、求めるものではない。立法機関としての議会の役割は、国家や制定法の役割・あり方などとともに変化してきており、議会だけを立法者とする見方は妥当ではなくなってきている。条例については、執行機関がその政策を推進する手段となっていることも既に触れてきたところであり、また、立法は条例の制定をもって完結しないことも少なくない。その意味で、立法は複数の機関による協働行為として行われるようになってきているのであり、議会による審議・議決は基本的に同意調達のプロセスとなっている面もある。そのことを前提としつつ、立法機関としての現代的な役割・あり方を考えていくことが必要である。いたずらに議会主義(議会中心)の幻想を振りまくことも、逆に議会が立法の中心とならない限り立法機関でないとすることも、妥当ではない。
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