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2019.11.11 議員活動

第18回 災害時の活動と公職選挙法

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弁護士 金岡宏樹

 以前にも増して地震や風水害といった災害が数多く発生しています。今年も台風や大雨などによる被害が出ており、被災された皆様にはお見舞いを申し上げます。
 地域に根ざした活動に取り組まれている皆様においても地元の防災活動には普段から関心を持たれていると思いますが、万一、不幸にも災害に見舞われたときに行う活動も公職選挙法(以下「公選法」ないし「法」といいます)との関係を意識しておく必要があります。
 そこで今回は、災害時の活動について検討してみましょう。

Question

Q1 X県議会議員Aさんは、地元選挙区を襲った豪雨に心を痛め、すぐに以下のような行動を開始しました。公選法との関係で問題はないでしょうか。
① 地元が大変なのに歳費をもらうわけにはいかないと、歳費の一部を返上した。
② 社会福祉協議会や日本赤十字社に対し、義援金として自身が代表を務める会社から寄附をした。
③ ボランティアとして、地元支援者の自宅などで出た廃材の片付けや清掃を手伝った。
④ X県が行う災害支援募金の趣旨に賛同し、募金箱を持って街頭で募金活動を行い、集まった募金をX県の担当部署に届けた。
⑤ Aを支援してくれている企業や後援者に対し、被災者への支援をお願いした。
⑥ 地元で開かれた後援会総会において、県議会議員として県や国とも協力し、補助金や精神的ケア等、物心両面での支援を得られるよう関係機関に積極的に働きかけていくことを約束した。
⑦ 後援会総会で、規約に基づき、被災した会員に見舞金の支給を決議し、希望者に5,000円ずつ支払った。

Q2 Y市の市議会議員Bさんは、県内で発生した地震による被害の回復に向けて次のような活動を行いました。これらの行為は公選法に抵触しないでしょうか。
① Bの後援団体が毎年行っている政治資金パーティーにおいて、市内の事業者が生産する地元特産野菜を使った料理を提供した。
② 上記地元特産野菜は、主催した後援団体が地震のため出荷できない商品を買い取って提供したものであった。
③ Bの使用する名刺の裏面に、被災した事業者の広告を掲載した。
④ Y市の事業者から商品を購入し、他市への出張の際に手土産として訪問先に提供した。
⑤ 被害を受けた住民の自宅を戸別訪問し、被害の状況を確認するとともに、Y市に対して望む施策や対応について意見を聞いて回った。
⑥ 市や国からの災害情報や物資の配給情報などを自分のツイッターを使って市民向けに発信した。
⑦ Y市の被害住民への対応が遅いことを自らのホームページやメールマガジンで批判し、次期市長にはBの所属政党のC氏がふさわしいと提言した。

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金岡宏樹(弁護士)

この記事の著者

金岡宏樹(弁護士)

弁護士。1976年京都府生まれ。同志社大学卒業後,名古屋市役所入庁。生活保護のケースワーカーとして現場を経験後,一念発起して同志社大学法科大学院に入学。2008年弁護士登録(愛知県弁護士会)。勤務弁護士として4年半あまり勤めた後,2013年7月より自民党衆議院議員の政策担当秘書に就任し地元活動・選挙事務等に携わりコンプライアンス向上に努める。2016年4月に退職し弁護士業務に復帰。現在はSAK法律事務所にて執務中。

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