地方自治と議会の今をつかむ、明日につながる

議員NAVI:議員のためのウェブマガジン

『議員NAVI』とは?

検索

2019.07.10 議会改革

改めて決算審査の充実を――政策サイクルの中に決算審査を位置付ける――

LINEで送る

山梨学院大学大学院社会科学研究科長・法学部教授 江藤俊昭

本稿の課題

 本特集の目的は、決算の重要性を再確認するだけではなく、議会改革の到達点を踏まえて、議会の監視・政策提言力のパワーアップに資するための決算審査のあり方を探ることにあるのだろう。様々な実践の紹介や課題は次回以降の論稿に委ねることになる。今回は、結論を先取りすることになるが、以下のことを強調する。
 ① 決算は執行された予算の監視であり、議会はその監視に属する権限を有する。したがって、「終わったこと」として単に認定すればよいわけではない。現在執行されている予算(以下「本年度予算」という)とかかわる事項が含まれている場合、その再検討が必要となるだけではない。地方自治法が改正され、不認定の場合、「必要と認める措置を講じたとき」という限定を付しているものの、首長は議会に対して報告する義務を負うことになった(首長の説明責任の発生)。また、決算審査によって明確になった論点をその後の予算審査で活用することができる。決算審査は政策財務の起点である(1)
 ② 決算審査は、議会からの政策サイクルの重要な要素である。議会からの政策サイクルは、新たな議会にとっての重要な手法である。決算審査に当たって、それを政策財務に活用する。政策財務にかかわることは、条例の審査とともに議会の最も重要な役割である。まさに地域経営の本丸に議会が切り込むことになる。しかも、決算審査によって財務の課題が明確になり、それを踏まえた予算審査が可能となる。また、こうした予算審査により決算審査が充実する。こうして政策財務の正の連鎖がつくり出される。議会による政策財務の実践にとって、附帯決議は重要な道具であることも確認する。
 ③ 決算と予算の狭間(はざま)を埋める。政策財務には複眼的な視点が要請される。前年度の決算審査、来年度に向けての予算審査、そして現在動いている予算執行の監視と補正予算審査である。決算と予算の間に本年度予算の監視を加えることの必要性である。決算審査を踏まえた予算審査というサイクルに、本年度予算審査を加える複眼的視点である。その際、決算にかかわる情報の活用とともに、本年度予算の進捗状況を把握する視点が重要となる。なお、総合計画に基づいた監視の視点が重要なことも強調する。
 ④ 決算(予算)審査の充実のための道具の発掘。総合計画を念頭に置いた決算(予算)審査を行うが、そのためには総合計画が実行性あるものでなければならない。また、決算・予算審査を充実させるための委員会の設置は重要である。通年的に活動できる常任委員会設置が妥当であろう。監査委員(議選監査委員)との連動も重要である。「守秘義務」の縛りからの解放が課題となるが、そもそも情報公開を原則とする地域経営にとって守秘義務を強調する時代錯誤も再認識したい。また、専門的知見の活用等、外部の知見の活用も重要になる。政策財務に当たっての附帯決議の重要性を再認識したい。

つづきは、ログイン後に

『議員NAVI』は会員制サービスです。おためし記事の続きはログインしてご覧ください。記事やサイト内のすべてのサービスを利用するためには、会員登録(有料)が必要となります。くわしいご案内は、下記の"『議員NAVI』サービスの詳細を見る"をご覧ください。

江藤俊昭(山梨学院大学大学院研究科長・法学部教授博士)

この記事の著者

江藤俊昭(山梨学院大学大学院研究科長・法学部教授博士)

山梨学院大学大学院研究科長・法学部教授博士(政治学、中央大学)。 1956年東京都生まれ。1986(昭和61)年中央大学大学院法学研究科博士後期課程満期退学。専攻は地域政治論。 三重県議会議会改革諮問会議会長、鳥取県智頭町行財政改革審議会会長、第29次・第30次地方制度調査会委員等を歴任。現在、マニフェスト大賞審査委員、議会サポーター・アドバイザー(栗山町、芽室町、滝沢市、山陽小野田市)、地方自治研究機構評議委員など。 主な著書に、『続 自治体議会学』(仮タイトル)(ぎょうせい(近刊))『自治体議会の政策サイクル』(編著、公人の友社)『Q&A 地方議会改革の最前線』(編著、学陽書房、2015年)『自治体議会学』(ぎょうせい、2012年)等多数。現在『ガバナンス』(ぎょうせい刊)連載中。

Copyright © DAI-ICHI HOKI co.ltd. All Rights Reserved.

印刷する

今日は何の日?

2024年 715

三鷹事件起こる(昭和24年)

式辞あいさつに役立つ 出来事カレンダーはログイン後

議員NAVIお申込み

コンデス案内ページ

Q&Aでわかる 公職選挙法との付き合い方 好評発売中!

〔第3次改訂版〕地方選挙実践マニュアル 好評発売中!

自治体議員活動総覧

全国地方自治体リンク47

ページTOPへ戻る