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2018.08.27 政策研究

第8回 住民の概念を広げ、自治力を強化する“ふるさと住民票”の取組み~香川県三木町~

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地方自治ジャーナリスト 相川俊英

ただいま増加中、三木町のふるさと住民

 高松空港から高松駅行きの路線バスに乗ること約30分、瓦町バス停で下車して隣接するビルの2階にある高松琴平電鉄(琴電)瓦町駅へ移動する。ここで2両編成の琴電長尾線に乗り込み、最終目的地へと向かう。コトコトとゆっくり走る琴電に揺られていると、猛烈な眠気に襲われる。電車は走っては止まり、停車しては走り出す。そんなことを11回繰り返して学園通り駅に到着した。瓦町駅からわずか30分ほどの短い電車の旅だった。
 無人の学園通り駅には駅舎もなく、案内板も見当たらない。電車を降りて切符の回収に当たる若い車掌に道を尋ねたが、分からないとのこと。仕方なく、前方で回収していた年配の運転手に役場までの道順を教えてもらった。
 踏切を越えてそのまま直進し、長尾街道との交差点に出た。そこを右折すると、すぐに香川県三木町の庁舎が現れた。駅から歩いてほんの数分の距離だったが、なにせ35度を超える酷暑である。朦朧(もうろう)としながらやっと目的地にたどり着いた。

香川県三木町の役場香川県三木町の役場

 香川県東部に位置する三木町は、人口2万7,359人(2018年7月1日現在)。町域は東西5.8キロメートル、南北18.4キロメートルと細長い形をしており、西と北は高松市、東はさぬき市、南は徳島県美馬市とそれぞれ接する。そんな三木町は周辺1町4村が1954年に合併して誕生した。その2年後に1村を編入合併し、現在の姿になった。三木町は「平成の大合併」とは距離を置き、単独路線を続けている。
 中央部に平地が広がる三木町の基幹産業は、農業。さらに近年は、高松市のベッドタウンとして発展している。アクセスの良さのみならず、充実した町の子育て支援策も要因となっている。「子育てするなら三木町」といわれるまでになっており、若い世代を引き寄せているのである。三木町のもう1つの特徴が昼間人口にある。町内に香川大学の医学部と農学部、それに医学部附属病院があるため、大勢の人が町外から通勤・通学している。その数は約2,000人。もっとも、町の人口は2005年の2万8,790人がピークで、その後は微減となっている。町の財政は健全で、経常収支比率は81.1%(2015年度・以下同)、実質公債費比率は2.5%、財政力指数は0.544だ。
 三木町役場に入ると、玄関左手に設置されたふるさと納税の返礼品コーナーが目についた。多種多様な返礼品が展示されており、目に鮮やかな、にぎやかな印象を受けた。だが、ふるさと納税の取材で三木町を訪れたわけではなかった。取材テーマは「ふるさと住民票」の取組みについてだった。その担当者のもとへ直行したが、なぜか、畑違いの土木建設課の係長だった(経緯については三木町の筒井敏行・町長インタビューを参照)。

三木町のふるさと納税返礼品は800品目三木町のふるさと納税返礼品は800品目

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相川俊英(地方自治ジャーナリスト)

この記事の著者

相川俊英(地方自治ジャーナリスト)

地方自治ジャーナリスト。1956年群馬県生まれ。地方自治の取材を四半世紀以上にわたって続ける。2019年7月に「議員NAVI」にて連載中の「自治の担い手の再生」を加筆してまとめた『自治体職員のための住民と共につくる自治のかたち』(第一法規)を出版。この他に、『地方議会を再生する』(集英社新書、2017年)『奇跡の村 地方は人で再生する』(集英社新書、2015年)『反骨の市町村 国に頼るからバカを見る』(講談社、2015年)など多数。

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