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2018.07.25 政策研究

第7回 住民自治の裾野を広げねば、議員のなり手不足は解消しない~飯綱町と佐久市~

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地方自治ジャーナリスト 相川俊英

議員のなり手を見つけ、育てる努力を

 深刻化する地方議員のなり手不足の解消策として、議員年金を復活させる動きが広がっている。地方議員を自治体職員とみなし厚生年金への加入資格を与えようというもので、自民党が議員立法による導入を模索している。来年春の統一地方選を見据えた動きのひとつだが、どうにもピント外れとしかいいようがない。議員年金の復活が地方議員のなり手不足解消につながるはずもなく、また、深刻化しているのはなり手の不足というレベルにとどまらないからだ。本来の役割を果たせる、ないしは、果たしている議員が激減している現実こそが、問題の本質である。つまり、議員のなり手不足は質と量の両面で進行しており、単に定数が埋まるだけの立候補者が現れればよいという類いの話ではない。

立派な器だけという議会が全国各地に立派な器だけという議会が全国各地に

 「住民自治を広げることが、議員のなり手不足解消につながると考えます。議員活動にやりがいが感じられ、その努力も報われる。そして、地域の人たちからもリスペクトされる存在となれば、議員のなり手は増えていくと思います」
 こう持論を展開するのは、長野県飯綱町の寺島渉さん。飯綱町議会は本来の役割を果たす模範的な地方議会として高い評価を得ているが、その飯綱町議会の改革を議長として長年けん引してきたのが、昨年10月に引退した寺島さんだ(「シリーズ この人に聴きたい 第2回」議員NAVI 2017年11月10日号を参照)。
 寺島さんは、議会や議員の存在価値が住民に見えず、その必要性を感じられなくなっていることが、なり手不足の最大の要因だと断言する。そうであるがゆえに、手練手管の策でなり手不足を解決できるはずはなく、まずは地域住民の役に立っていない議会を変えることこそが必要だと力説する。さらに、議員のなり手を地域の中から見つけ出し、育て上げる努力も不可欠だと語る。議会改革と議員のなり手不足対策は密接に関連しており、戦略的にワンセットで取り組むべきという主張である。
 寺島さんがけん引した飯綱町の議会改革の詳細は拙著『地方議会を再生する』(集英社新書、2017年)を参照していただきたいが、ポイントは「議会への住民参加を広げ、“議会を見える化”すること」だ。

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相川俊英(地方自治ジャーナリスト)

この記事の著者

相川俊英(地方自治ジャーナリスト)

地方自治ジャーナリスト。1956年群馬県生まれ。地方自治の取材を四半世紀以上にわたって続ける。2019年7月に「議員NAVI」にて連載中の「自治の担い手の再生」を加筆してまとめた『自治体職員のための住民と共につくる自治のかたち』(第一法規)を出版。この他に、『地方議会を再生する』(集英社新書、2017年)『奇跡の村 地方は人で再生する』(集英社新書、2015年)『反骨の市町村 国に頼るからバカを見る』(講談社、2015年)など多数。

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