議会事務局実務研究会 林敏之
自治体議員の皆様、こんにちは。今回は住民参加の第一歩、傍聴についてお届けします。「正直、あまり傍聴者が多すぎるとやりづらいけど、0人というのもさみしいものだよ」なんて話を議員から聞いたことがあります。議場にいると傍聴者の有無しか気にならないかもしれませんが、傍聴するにもいろいろと決め事があるのです。
どんな会議でも傍聴できるの?
自治体議会には規模の大小はあるものの、議場には傍聴席が設けられており、市民が本会議を傍聴することは日常的に行われています。地方自治法115条において議会の会議を公開することが定められており、会議は公開することが原則です。ここでいう会議とは本会議のことを指しており、委員会には及ばないといわれています。そのため、無条件で常任委員会を傍聴できる議会は全国で53.2%※しかありません。ある議会では無条件で委員会を傍聴できないため、冒頭、委員長から各委員に傍聴を許可していいか諮り、その上で入場させていました。会議公開の原則が委員会に及んでいないためとのことでした。
しかし、地方自治法では傍聴に関する規則は各議会で定めることとなっています。委員会傍聴規則で会議の公開を定めればいいだけのことですので、委員会の傍聴を毎回許可しているのであれば、わざわざ毎回委員に諮ってから傍聴希望者を入場させるような仰々しい取扱いは見直すべきではないでしょうか。なお、当然にして出席議員の3分の2以上の多数で秘密会の開催を議決したときは、報道関係者を含めた傍聴者は退場することとなります。
※早稲田大学マニフェスト研究所「議会改革度調査2015
誰でも傍聴できるの?
傍聴に関する細かい決め事は各議会の傍聴規則によって定められています。基本的には誰でも傍聴ができますので、「『◯◯議会の通信簿』を発行している編集長は悪口ばかり書くため傍聴席出入り禁止!」というわけにはいかないのです。ただし、フリーパスで傍聴席に入れるわけはなく、酒を飲んでいる人や危険なものを持っている人は入場できません。
また、傍聴席において会議の妨げになるような行為をした者は、議長が注意をしてもなおやめない場合、退場させることができるとされています。一発退場はできませんので、必ず議長が一度は注意をする必要があります。もしも、退場させられた人が同じ会議に再入場してきた場合はどのように取り扱うのでしょうか。標準市議会傍聴規則では「会議を妨害し又は人に迷惑を及ぼすと認められる者」は入場できないとあり、これに該当するものとは思いますが、その適用に当たっては混乱することが予想されます。本人から「もう妨害しません」との言葉があった場合「いやいや、うそでしょ?」と言い切れるでしょうか。「もう一回議場に入れろー! ふざけるなぁぁ」と暴れてくれていれば客観的にも分かりやすいのですが。そのため、退場させられた人が当日再入場できないよう、傍聴規則で定めている議会もあります(石巻市議会など)。
なお、除斥された議員が傍聴することは特に定めがなければ禁止することはできませんが、傍聴席にいては除斥の意味がないので、退場してもらうことが正解です。事前に取扱いを定めておくとよいでしょう。
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