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2017.09.25 議会運営

第28回 悩みの多い議会報告会

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議会事務局実務研究会 林敏之

 自治体議員の皆様、こんにちは。今回は議会改革につきものの議会報告会についてお届けします。議会報告会は各地で様々な形で開催されていますが、参加者の減少など悩みが多いようです。住民が求める議会報告会にするためには、どのようにしていけばよいのでしょうか?

議会報告会って何?

女性

 議会報告会は現在400を超える市議会で行われており、その多くが議会基本条例の規定に基づくものです。議会基本条例の制定をはじめとした議会改革の成果の一環といえるでしょう。議会報告会は各地で様々な形で開催されていますが、一般的に、議会報告を行った後に質疑応答を行う形が主流です。直前の定例会についての議会報告を行う議会が多く、議案に対する賛成や反対意見の紹介などが行われます。質疑応答は挙手による発言のほか、書面で質問票を集めて議員が答える方法をとっている議会も見られます。
 あくまで「議会」報告会なので、議員個々の意見については述べることができず、議会としての意見しか発言できないところも多く、議員と参加住民双方のフラストレーションがたまる場面も見られます。また、参加する住民においても、首長が行う住民説明会との違いを理解できないため、市政への陳情の場になってしまい、議論がかみ合わない場面が見られることもあります。ただし、これについては回数を重ねるごとにお互い成熟していく傾向にあるようです。
 現状では「議会基本条例で定められているので議会報告会を行っています」というスタンスで、淡々と議会報告会を行っている議会が多いようです。しかし、せっかく行うのであれば議会報告会をどのような場とするのか、例えば「議会の広報広聴としての場とする」、「住民意見を傾聴する場とする」、「政策提案を受ける場とする」など定義し、報告しっぱなしではなく、その成果を議会にフィードバックできるようにしたいものです。

どうやってやるの?

男性

 議会報告会は定例会等とは違い、議会事務局がお膳立てをして議員は当日檀上に立つだけというスタイルは少数です。会場の手配や設営、駅頭などでの宣伝やチラシの配布、当日のマイク運びや受付まで議員自らが行うことがほとんどであり、事務局はノータッチという議会も珍しくありません。会派の枠を超えて自分たちで行うことにより、議会としての一体感が生まれ、それが報告会での質疑応答に生かされたり、さらなる議会改革の種になったりしているようです。
 さて、議会報告会の成功に向けてとても大事なのが、ファシリテーターとなる議員の役割です。議会改革の委員会委員長がこれを務めることが多いと思います。報告会に参加する住民の多くは議会に対して何かを言いたいために参加してきます。そのため質疑応答では、1つの発言の中に質問や意見、批判や苦情がまとまりなく含まれていることがよくあります。質問の内容を精査し、すぐに答えることができる内容とできない内容を判別して場を回す必要があり、相当の力量が求められます。住民の質問に対する議員の回答が、議会での答弁のようにだらだらと長い場合などにも、適宜コメントを挟むなどして住民が納得できるような回答になるよう促していく必要があります。何にせよ、意見交換の場では「質問はじっくりと聞き、答えは明快かつ簡潔に」が基本です。

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議会事務局実務研究会

この記事の著者

議会事務局実務研究会

議会事務局実務研究会 2011年6月、元衆議院法制局参事の吉田利宏氏と町田市議会事務局調査法制係担当係長(当時)の香川純一氏の呼びかけにより発足。自治体議会事務局、国会事務局・法制局、国会図書館の職員及び経験者によって構成された実務家集団。会員が日常抱えている小さな疑問や課題を持ち寄り、それらについてオフサイトミーティング形式で意見交換、情報交換をしながら、実務の視点に立った研究実績を、論考、講演など各種のメディアで展開。全国の議会事務局のアドバイザー的存在として実績を重ねている。 大島俊也 おおしま・としや 議会事務局実務研究会会員、東京都墨田区職員。1996年墨田区役所入庁。議会事務局議事係(3年間)、高齢者福祉課、職員課、安全支援課、議会事務局議事調査担当(5年間)、産業経済課を経て、2017年より産業振興課。 林敏之 はやし・としゆき 議会事務局実務研究会会員、東京都立川市職員。民間企業(建設コンサルタント)での勤務を経て、2003年立川市役所入庁。2008年より2013年まで議会事務局。

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