議会事務局実務研究会 林敏之
自治体議員の皆様、こんにちは。今回は議員定数と議員報酬についてお届けします。住民からの批判で多く耳にするのが、「議員の数が多すぎる」、「議員はお金をもらいすぎている」というものです。議会報告会などでの質疑応答でも耳にすることが多いのではないでしょうか。さて、住民が納得する適正な議員の数と報酬等はどのようにして考えていけばよいのでしょうか?
議員定数ってどうやって決めているの?
ご存じのとおり、自治体議会の議員定数は条例によって定められており、議会によって異なります。そのため、自治体の規模が同じくらいであっても、議員の数には開きがある場合があります。議員数が多い議会は「無駄な議員は減らすべきだ」との批判の的になりやすく、少ない議会は「身を削って議会改革を行っています」と分かりやすいアピールができることから、各地で競うように議会改革という名の議員数減らしが行われてきました。
しかし、これではお互いに体力を奪い合うだけであり、適正な議員数の決定とはほど遠いものです。同じような人口規模であれば、必要とされる議員数に大きな違いはないはずです。できれば、国の方で統一した基準を出してくれれば、議員数の議論に決着がつくのではないかと思われる方もいるかもしれません。
実は平成23年の地方自治法改正により、それまで人口段階別にあった議員定数の上限が撤廃されました。それまでは、人口10万人以上20万人未満の市では議員数の上限が34人と定められていました。そのため、この数字を基準として各議会で議員定数を定めており、住民からの議員数への批判についても、この数字を引き合いにかわしてきた歴史があります。しかし、法改正により各議会で必要な定数を自ら定めることが求められるようになり、適正な議員定数を自ら定めるよう促されることとなりました。とはいえ、ほとんどの議会では、あまり議論は進んでいません。本来は各議会で必要な議員定数について様々な角度から話し合い、決定すべきです。
適正な議員定数って?
それでは、適正な(住民に文句をいわれない?)議員定数の決め方の妙案はないのでしょうか? ある議会では「どうせ、毎回議員定数の削減が求められるのだから、今回は4人減らせるところだけど、2人だけにして、あとの2人分は次回の選挙前に残しておこう」なんて長老議員によるざっくりとした議員定数の決定がされてきたなんて話も聞いたことがあります。
しかし、それでは住民に対する説明として苦しいものになります。最終的には議会で議決する以上「お手盛り」といわれればそれまでですが、説明できないお手盛りはよくないお手盛りです。近年の適正な議員数決定の根拠としてよく耳にするのは、常任委員会の数×委員数で決定するものです。平成22年に会津若松市議会の議会制度検討委員会が「議員同士で十分に議論するために7人から8人必要であり、常任委員会が4つあることなどから議員定数を30人とする」と最終報告を出しました。現在この考え方は全国的に浸透してきており、多くの議会で選挙前になると提案されていた議員定数の削減に一定の歯止めがかかる結果となりました。これ以上議員数を減らすのであれば、委員の数か常任委員会の数を減らす必要がありますが、議員間討議を行ったりすることを考えると、委員の数を何の検証もなく減らしすぎることは、自らの首を絞める行為になりかねません。選挙対策として議員定数削減の方向に議論が行きがちな現実もあるかもしれませんが、適正な定数について議会できちんと話し合い、その結果についてきちんと折に触れて住民に説明できるようにすべきと考えます。
つづきは、ログイン後に
『議員NAVI』は会員制サービスです。おためし記事の続きはログインしてご覧ください。記事やサイト内のすべてのサービスを利用するためには、会員登録(有料)が必要となります。くわしいご案内は、下記の"『議員NAVI』サービスの詳細を見る"をご覧ください。