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2017.07.10 政策研究

第10回 7つの予算原則

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江東区福祉推進担当部長 武田正孝

 新人議員の新(あたらし)議員(だんご市議員1期目、30代・女性)の叔父に当たる前財(ぜんざい)課長(おわん市課長、50代・男性)は、おわん市でかつて財政課長を務めていました。新議員は前財課長に自治体の財政について、いろいろと質問をしています。

前財(ぜんざい)課長
おわん市入庁30年目。昨年度まで財政課課長を務めていた。50代半ばを迎え、後進の育成に熱心に取り組んでいる。


新(あたらし)議員
だんご市市議会議員。昨年の4月に地方選挙で議員になったばかり。民間企業での勤務を経て、議員を志した。まちづくりや教育に興味がある。年齢は33歳と、議会の中でも最若手。前財課長の姪(めい)っ子。

今回のテーマは、予算原則ですね。

新議員

そう。前回に引き続き、予算の話が続くけど、基本的な内容だからね。

前財課長

分かりやすく説明してくださいね。

新議員

もちろん、そのつもりだよ。ただ、あまり勉強とは思わず、実際の場面を想像しながら聞いてほしいんだ。

前財課長

それは、どういうことですか?

新議員

原則とはいいながらも、実際には多くの例外があったりする。そこに、原則の背景となる考え方と、実務の差異が読み取れるんだ。

前財課長

では早速、お願いします。

新議員

1 予算原則とは

 自治体は様々な行政活動を行っているが、それに伴い予算も複雑多岐にわたる。一方で、予算は明確かつ民主的であることが求められており、このためいくつかの予算原則が設けられている。具体的には、次の7点である。
 ① 総計予算主義の原則
 ② 単一予算主義の原則
 ③ 予算統一の原則
 ④ 予算事前議決の原則
 ⑤ 会計年度独立の原則
 ⑥ 予算単年度主義の原則
 ⑦ 予算公開の原則

2 総計予算主義の原則

(1)総計予算主義の原則とは
 総計予算主義の原則とは、一会計年度における一切の収入及び支出を、すべて歳入歳出予算に計上しなければならないとする原則。地方自治法(以下「自治法」という)210条には、「一会計年度における一切の収入及び支出は、すべてこれを歳入歳出予算に編入しなければならない」とあり、総計予算主義が規定されている。
 仮に、この原則に基づかないと、ある事業の歳入と歳出を差し引き(相殺し)、必要な額のみを計上することになる。例えば、「保育園運営事業は、全体として歳出は5億円だけれど、保護者から入園料や保育料として1億円の歳入があるので、差し引き4億円を歳出予算に計上すればよい」というようなことになる。
 こうした方法は、純計予算主義という。相殺した歳入予算だけ、若しくは歳出予算だけを計上する。しかし、これでは事業の全体像を把握することができない。一切の歳入歳出を予算に計上することにより、予算を通じて歳入歳出の実態が明らかになり、予算の全体像を明らかにすることができる。これによって責任も明確となるため、この総計予算主義が用いられている。

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この記事の著者

武田正孝(江東区福祉推進担当部長)

江東区福祉推進担当部長。1991年江東区役所入庁。防災課長、教育委員会学務課長、財政課長、企画課長などを経て2017年より現職。 著書に『図解よくわかる地方議会のしくみ』(学陽書房2015年)、『スッキリわかる!自治体財政のきほん』(学陽書房2016年)、『スッキリわかる!地方公務員法のきほん』(学陽書房2016年)がある。

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