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2017.06.12 仕事術

第7回 監査委員による行政監査、財政援助団体等監査は意味がない?

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人口30万人を超える自治体議会議員 木田弥

監査の改革は、制度改革より意識改革が先では?

 平成23年、民主党政権時、民主党の公約でもあった地域主権改革の具体的な取組みとして、「地方自治法抜本改正についての考え方(平成22年)」(以下「考え方」という)が公表された。この「考え方」は、大きなテーマのひとつに「監査制度・財務会計制度の見直し」を取り上げている。この「考え方」では、監査制度は抜本的な制度改正が必要であるとされた。
 本連載でも、やんわりと指摘しているように、制度改正で、監査の内容が改善されるという希望的観測について、私は懐疑的である。むしろ、すでに与えられている監査委員の権能を十全に発揮すれば、現状でも相当な成果を上げられるハズである。もっとも、それができないから制度改正を志向するのであろう。監査制度がうまく機能していないと思われてしまう原因は、むしろ自治体や自治体議会の意識の低さにあると私は考えている。監査委員個人の自覚の問題もある。
 私は、かつて定期監査に伴う施設調査で、ある施設の私物の撤去を当該監査の意見として述べた。他の監査委員から特に異論もなかったため、監査委員会の公式な見解となった。しばらくたって、私物を置いていた市民から自宅に直接苦情の電話がかかってきた。「監査委員としてのあなたの発言で、私物が置けなくなりました」とのこと。この市民の方は、これまで選挙の際に、私を支持していたという。担当職員が、私物撤去のために、苦し紛れに私の名前を持ち出したことで、私が私物撤去の元凶だと理解したようだ。監査の意見は、合議制が基本であるから、私ひとりに責を問われても困ってしまう。そもそも、担当職員が、私の名前を言挙げすることそのものが、行政職員の基本動作としてあるまじき行為である。しかし、こういう脅しにひるんでいるようでは、議選監査委員としては失格だ。

 「考え方」では、表に示すように、監査委員の機能について、今後の方向性を提示している。「行政監査については、議会の監視機能や長の行政評価等の類似の機能との役割分担を図る」とされた。表現は軟らかいが、行政監査については、必要ナシということである。現に、総務省が作成した、この「考え方」について図解した、いわゆるポンチ絵では、明確に廃止と明記されている(このポンチ絵そのものはネット上から消されているようだ)。

表 地方公共団体の内部の主体が担うべき監査と外部の主体が担うべき監査表 地方公共団体の内部の主体が担うべき監査と外部の主体が担うべき監査

 この「考え方」が作成された時期は、戦後初の本格的な政権交代が行われた時期であり、戦後の様々な制度を思い切って見直そうという背景で提案されたものなので、多少割り引いて考える必要がある。それにしても、見事な切り捨てられ方である。同様に、廃止とされたのが、長又は議会の請求による監査、財政援助団体等の監査である。

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この記事の著者

木田弥(人口30万人を超える自治体議会議員)

人口30万人を超える自治体議会の議員として活動中。

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