かながわ政策法務研究会 亀井覚
水戸川慶太(文責)
1 なぜ公契約条例を取り上げるのか
公契約条例(狭義)とは、発注者である地方自治体が賃金の支払状況を尺度として公共サービスを請け負うにふさわしい事業者を選定し(賃金条項)、契約自由の原則の下、従事労働者の処遇を維持・改善することを契約上の義務と位置付けるものである(上林2015)。2015年1月までにこうした賃金条項を含めた公契約条例は12の市区で制定されている(上林2015)。公契約条例は、民間委託などの公務の外部化が進む一方で、入札価格の下落が続き「官製ワーキングプア」といわれる事態が続いてきたことを背景に、地域の課題や要求に対応してつくられてきたのは周知のとおりである。
公契約条例の制定に当たり、様々な疑問、異論、批判があるのも事実である。そのうちのひとつは、賃金条項を含めた公契約条例を実際に運用した場合、下請企業の従業員までを含めて決められた以上の賃金などの支払について、実効的な履行確認が果たしてできるのかという疑問である。こうした運用に当たっての疑問は、政治的にも障壁の高い公契約条例の運用に膨大な手間をかけるより、公契約に関する既存の契約手法の有効な活用を図るのが先ではないか、との議論につながっている(1)。
しかし、筆者らは、こうした賛否の二項対立ではなく、これら既存の制度改革を公契約条例にも生かすべく、公契約条例について検討したい。建築業界においては重層下請構造と一般にいわれているが、既存の公契約の手法である最低制限価格制度を適用したとしても、下請企業への「さや抜き」への直接的な対応ができない。そして、自治体において指定管理者制度やPPP(公民連携)、PFIなどの活用が進む中で、下請事業者も含めた労働者の処遇を視野に入れた公契約条例の意義はますます重要となると筆者らは考えているからである。また、総合評価方式や最低制限価格制度などの導入についても、一般競争入札の厳格な適用が、価格競争、ダンピング発注に至ったことへの反省に基づき、公契約の適正化のために行われている。公契約条例は、こうした一連の公契約の制度改革と比較的に論じるのではなく、むしろこれまでの公契約改革でつくられた諸制度と補完し合うものと考える。
本稿では、賃金水準の決定や、賃金条項などへの履行確認といった、公契約条例の課題について、地域の労働組合や社会保険労務士などの専門家を活用している事例などを参考に、適正な公契約を図るための条例化について議論をする。
2 公契約の概要
公契約とは、公共工事や委託業務、補助事業(補助金による事業)などにかかわって、国や自治体が民間企業との間で結ぶ契約のことである。
公契約は、少ない費用で(公費の使用)品質を確保(成果物の質(+社会的視点))することが求められている(地方自治法(「自治法」)2条14項)。そして、最も低い価格を提示した者と契約を締結する一般競争入札が原則であり、指名競争入札や随意契約は、自治体が行う公契約では例外と位置付けられている(自治法234条)。しかし、実際の自治体での公契約では随意契約や指名競争入札が多用されて談合を生んでいるとの批判を受け、一般競争入札の原則の厳格な適用を図る入札改革が図られた。これらは「小さな政府」、「規制改革」の一環として、公共サービスのアウトソーシングや市場化(民間委託・指定管理者制度の導入など)とともに進められた。こうした価格競争を厳格に適用する入札改革は、公契約により働く労働者の低賃金化や公共サービスの質の低下を招いたと批判された(2)。
入札改革が労働者の低賃金化や公共サービスの質の低下を招いたとの批判に対しては、むしろ、可視化されたルールにより公契約の適正化を図ることが重要である。まともな賃金・労働条件を確保することが「良い仕事」の条件となるからである。
総合評価方式とは、「その性質又は目的から前項の規定により難い契約」において「価格及びその他の条件が国にとつて最も有利なもの」を契約相手に選定する手法である(会計法29条の6第2項)。価格以外の要素を加味したことにより、品質の確保が可能になる。しかし、事務処理に時間と手間がかかる。さらに、価格以外の要素の評価の客観性や、要素のウエイト付けなど、発注者の恣意が働きうる。
また、公共調達を通じて政策誘導を図る「政策入札」とは、他の政策目的を実現するために公共調達を活用する考え方である。政策目的の実現に資する一定の状態や貢献度合いを競争参加資格の要件や落札者決定の基準にするものである。武藤(2006)は、政策入札としての総合評価方式に盛り込む社会的価値の例として、障がい者雇用、グリーン調達、男女共同参画、公正労働を挙げている。「政策入札」は、誘導として非権力的な手法で、より望ましい状態を実現しうるが、公共調達的手続は費用対効果の算出が困難な政策の実現手段には適さず、政策誘導は別の手法により行うべき、との批判もある。
最低制限価格制度は、予定価格から一定割合以下の入札金額は、適正な品質を確保できないおそれがあるため無効とするものである(3)。予定価格を大幅に下回る落札者に対しては、落札者が当該事業を遂行できる能力があるかを測る低入札価格調査制度が行われるが、調査により「品質が確保できない」として契約をしないケースはめったにないと思われる。他方で、当該調査による工期への影響も大きい。そうしたことから導入されたのが最低制限価格制度である。現在、神奈川県では、公契約の検討を踏まえて、積算手法などを見直し、最低制限価格の適用範囲を広げる対応をしている。他方で、最低制限価格制度では、公共工事設計労務単価の利用によりある程度予定価格が予測できることから、最低制限価格付近に札が集中し「くじ引き」が多発する(鈴木2013)。
公契約をめぐる上記の問題に対し、国ではダンピング発注の防止や公共サービスの質の確保を図るための取組を行っている。
2009年に「公共サービス基本法」が施行され、国や自治体は公契約にかかわる労働者の「適正な労働条件」の整備を図ることとされた。そして2014年には、ダンピング防止、建設業の担い手確保のため、公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律(「適正化法」)、公共工事の品質確保の促進に関する法律(「品確法」)が改正された。
これらは、公契約の適正化を図るための手法として2004年に総合評価方式や低入札価格調査制度、最低制限価格制度などが定められたものの、建設業界をはじめとした雇用劣化の進行を止めるには至らなかったことへの反省に立っている。自民党の「公共工事品質確保に関する議員連盟」(2013年)を契機に、品確法などが改正された。
さらに、近年ではブラック企業対策が国主導で行われている。厚生労働省は「過重労働重点監督月間」(2013年)に不払い残業など調査し、是正指導を行っている。このように国の機関で対策が進められている中で、自治体の責務が問われる(上林2015)。
3 公契約条例の概要
(1)公契約条例とは何か
公契約条例(狭義)とは、雇用劣化を端緒とする公共サービスの劣化の進行を防止するため、発注者である地方自治体が賃金の支払状況を尺度として公共サービスを請け負うにふさわしい事業者を選定し(賃金条項)、契約自由の原則の下、従事労働者の処遇を維持・改善することを契約上の義務と位置付けるものである(上林2015)。
公契約条例は、2009年9月に野田市で初の制定がされ、川崎市、相模原市、厚木市など、2015年1月時点で、12市区で制定されている(上林2015)。
(2)公契約条例の概要
各地で制定されている公契約条例(狭義)では、主に以下の条項で構成されている。「各自治体の公契約条例の主な内容」に当たっては、原冨(2013、図表pp.158-161)を参照していただきたい。
原冨(2013)は、各地で制定されている公契約条例の構成内容として、①公契約条例の目的規定、②適用される契約、③対象者、④下限額となる賃金(公共工事の場合・業務委託の場合)、⑤労働者への周知方法、⑥履行確認の方法、⑦違反への対応、⑧審議会の採用、と整理している。
①の目的規定で、野田市では「公契約に係る業務に従事する労働者の適正な労働条件を確保することにより、当該業務の質の確保及び公契約の社会的な価値の向上を図り、もって市民が豊かで安心して暮らすことのできる地域社会を実現することを目的とする」としている。
②の適用される契約としては、「予定価格1億円以上の工事請負契約・予定価格1千万円以上の業務委託・指定管理者」など、どの条例も、賃金条項を適用する契約を限定している。
③の対象者では、当該工事や業務に従事するすべての雇用労働者や派遣労働者のほか、請負労働者(一人親方)(野田市、厚木市など)など、一人親方を含めている点が注目される。
④の下限となる賃金をどう定めるかは後述する。
⑤の適用労働者への周知では、受注者が「適用範囲、報酬下限額、申出先」を労働者の見やすい場所に掲示するか書面交付を行うこととしている。なお、川崎市では、周知不徹底が発生し、労組の要請を受けてパンフレットを作成したとしている(原冨2013)。
⑥の履行確認では、労働状況(氏名、作業内容、報酬、支払日など)を提出させ、その後、自治体が履行状況調査を行うことが定められている。
⑦の違反への対応では、違反への是正命令に受注者が従わない場合や虚偽申告をした場合には、契約解除、社名公表、損害賠償請求、指名停止等が定められている。
⑧の審議会の採用について、作業報酬下限額等を、労働報酬等審議会で定めている自治体がいくつかみられる。川崎市などいくつかの自治体では、これらの審議会に、有識者や事業者のほか、労働者代表を入れている。
(3)自治体における公契約条例制定の経緯
公契約条例の嚆矢(こうし)となった野田市では、公契約法の整備について、全国市長会に要望したが国が動かなかったことを契機に、2009年9月に公契約条例を市議会の全会一致で可決した。その後、川崎市が、市長の代表質問への答弁を経て2010年12月に、相模原市が庁内検討を経て2011年12月に、厚木市が市長選挙でのマニフェストに載せ、庁内検討委員会を経て2012年12月に制定している。
野田市で公契約条例が制定される前の2008年に、尼崎市議会で議員提案により条例案が提出されたが、議会で否決された(2009年)。野田市長は後に、尼崎市での議論が、野田市の公契約条例を検討する際の重要な論点をいくつも提示してくれた、と評価している。
また、2012年9月には、神奈川県でも、知事が公契約条例について検討する旨答弁し、庁内で研究会を立ち上げた。神奈川県協議会(2014)では、広域自治体である県が(狭義の)公契約条例を制定する場合の課題を整理している。1つに、広域自治体である県において地域間の多様性に配慮する必要性。2つ目に、賃金水準のひとつとされている生活保護基準は市町村により異なること。3つ目に、賃金下限を設けることで熟練工の賃金をかえって下げてしまわないか。4つ目に、公契約条例を制定するより先に、適正な積算手法の確立や最低制限価格適用範囲の拡大などの入札改革を進めるべきこと、が提起されている。
野田市や川崎市、相模原市などにおける公契約条例の制定に当たっては、いずれも首長のイニシアティブが大きく働いているものと思われる。
4 法的視点を含む公契約条例の論点
(1)最少経費・最大効果の原則との兼ね合い
このことについて、そもそも論として、公契約の価格上昇を招きうる賃金条項を定めることの是非が問われてきた。短期的な目先の経済性にとらわれるのではなく、時間軸を長めにとり、技術力の向上につながるような契約内容とすべきであり、そのためには「良質」な事業者を選定し、従事労働者の定着を促進する程度の契約価格の確保が必要であるとの反論がされている。
そして、自治体予算の圧迫への懸念が問われている。これについて、公契約条例による賃金条項は、競争過多による低価格入札を是正するためのものであって、現行の予定価格以上に公契約価格を引き上げることを意図していない。良質な事業者を選定し、従事する労働者の定着を可能にする程度の賃金水準を確保する契約価格の設定は、むしろ自治法の趣旨に沿うと考える。
(2)積算基準の確立と賃金下限額の基準設定
「公共工事設計労務単価」がある工事契約と異なり、一般業務委託契約では積算体系が確立しているとはいえない。前述の神奈川県の協議会でも、公契約条例を定める前に積算体系を整えることが先との意見が提示された。
業務委託における最低報酬下限額の設定基準においては模索が続いている。日本は、欧米と異なり、同一価値労働同一賃金の原則が守られていないことが背景となっている。
公契約条例を制定している自治体では、工事系の契約では公共工事設計労務単価が、その他の業務請負契約では、生活保護基準、最低賃金法による最低賃金、公務の類似職種の初任給などが基準として採用されている。なお、生活保護基準の引下げを受けて、相模原市では法定の最低賃金額に変更している(2015年)。野田市では、業務委託の賃金などについては、すでに締結した契約に関する労働者の賃金を参照して、職種ごとの個別の時間単価を決定している。また、川崎市では、前述のとおり、学識経験者、事業者、労働者代表の三者構成による審議会の意見を踏まえて賃金水準が設定されている。
このことは、賃金設定における一種の「団体労使交渉」といえるのではないか。
(3)履行の確保と事務量増大への対応
「賃金条項」の履行確保をどうするか。またそのための事務量増大にどう対応するかが、自治体の現場にとっては切実な課題と思われる。この点について、野田市のほか、公契約条例を制定している自治体では、賃金条項の対象となる契約を、予定価格などにより絞っているのが実情である。野田市では、2013年度で、工事系の契約が25件、その他の業務委託が21件、計46件が、公契約条例が適用された件数である。現在のところ、条例事務担当者1名が処理できる範囲内であるとのことである(鈴木2013)。
また、履行確認に当たっては、自治体のみが行うのではなく、条例の示した設定基準に基づき、労働者、労働組合、社会保険労務士を活用したモニタリングを実施させることが考えられるのではないか。
(4)「公契約条例(狭義)」によらない公契約改革
筆者は、賃金条項の入らない公契約条例(以下「公契約基本条例」という)についても一定の意義があるとの立場である。公契約基本条例とは、賃金条項を入れないものの、労働条件を整備することを受注者の責務とすることを理念的に条例で定めたものである。
要綱により公契約の適正化を図る事例もある。新宿区では、「新宿区が発注する契約に係る労働環境の確認に関する要綱」(2010年)を定めている。区が受注者の労働環境の確認(社会保険労務士によるモニタリング)に際して基準を示し、これを下回る場合は労働環境改善の指示を行い、報告書提出を求めている。横須賀市では、債務負担行為や繰越明許費など複数年契約ができる手法を活用して、入札時期の平準化を図っている(鈴木2013)。
5 改めて公契約条例の意義をどう考えるか
(1)公契約条例の課題・公契約条例によらない公契約改革をどう考えるか
公契約条例の制定に当たっては、賃金下限額の積算の方法、適正な賃金基準が課題となる。野田市では、前述のとおり、公共工事設計労務単価のほか、その他の委託契約に当たっては、職務ごとの賃金基準を条例で設定している。
低入札価格調査制度において、調査の結果「施工能力がない」と判断された例はほとんどない。野田市では、公契約条例に制定された職種別の最低賃金額を基準に、失格基準を適用するなど、同制度を有効に機能させている。公契約条例を制定することは、総合評価方式など別の契約適正化の手法との二者択一ではなく、これらを有効に機能させるためにも公契約条例が機能していることを示している(鈴木2013)。
そして、川崎市での学労使の審議会は一種の「団体労使交渉」といえる。これらにより、職種ごとの「適正」な賃金水準(相場)の形成につながれば、公契約そのものの適正化につながりうる。
条例で「基準」を明示することにより、労働者、労働組合、社会保険労務士らによる監視が可能になる。こうしたモニタリングの権限を条例で明記する手法も考えられる。野田市などでの事例から、職員の事務量に見合った対象事業の絞込みが図られている。しかし、公契約条例の賃金適用外の公契約も「基準」に照らし低入札価格調査に生かすことで、自治体公共調達全体の「適正化」につなげられる。こうした効果を生むには、いずれも、住民、労働者、事業者らの協力なしには運用困難である。条例運用の成否のカギを握っている。
(2)住民(労働者・事業者・地域社会)が支える条例運用へ
公契約条例の意義は、条例により地域労働や経済環境の適正化を図ることである。公共サービスの提供主体&事業主としての自治体は、適正な地域労働環境、持続可能な地域経済環境をつくる責務がある。
政策条例としての公契約条例は、地域からの要求・課題に対応してつくられてきた。地域循環型経済で地域の再生を図ること、地元住民に適正な単価で公的な仕事を発注することは、地域振興につながる。
労働組合などの働く者も関与した新たな労働協約による賃金規制の必要性がいわれているが、その現実的な解決手法が公契約の適正化である。労働組合が関与することで、公共サービスに係る事実上の「団体交渉」につながる。「適正」な賃金水準の確立(同一価値労働同一賃金)への足がかりになるのではないか。
条例化の条件のひとつは、地域社会でいかに合意形成を図るかである。業界団体や経営者の中でも公契約適正化への支持が広がっている。それは、落札率の低下により熟練労働者の確保・育成ができず仕事の質の低下が懸念されているからである。経営者側で落札率を調整することはできない。これでは「談合」への逆戻りになってしまう。
こうした中で、上林(2015)は、条例制定の過程における議会での議論の重要性を指摘している。公契約条例が制定された自治体の多くは、全会一致で決まったという。つまり、総論賛成、各論反対の実情にどう対応するかが課題となる。
条例により賃金「基準」を明示することにより、低価格入札調査の実効性が高まるなど、公契約全体の適正化につなげていくことができる。このことは、公契約基本条例も含めた「条例化」の意義を示しているのではないか。
本稿では、最低制限価格制度などの既存の公共調達制度改革と公契約条例は、どちらかを選択するのではなく、公契約の適正化の課題に対して補完的に機能し合うと述べた。また、履行の確保や事務量の増大への懸念など、特に各自治体の実務担当者らが抱いていると思われる課題に対し、公契約改革の成果事例を取り上げて検討をし、住民(労働者・事業者・地域社会)が支える公契約条例の可能性を述べた。今後も、筆者らは、公契約条例をはじめ、自治体の公共調達制度の成果事例等をサーベイし、報告することを通じて、公契約の適正化に向けた議論に資することとしたい。
(1) 公契約の当事者である自治体職員においても、公契約条例に慎重な見解がある。自治体職員らも執筆者となっている『政策法務事典』(兼子仁・北村喜宣・出石稔編、ぎょうせい(2008年))では、公契約条例(広義)の定義を「価格以外の要素を加味した契約基準を条例で定め、自治体として優先すべき社会的価値を入札制度に反映させるもの」とした上で、「総合評価方式(地方自治法施行令167条の10の2)などを活用して同様の成果が得られる。現行法令の精密かつ柔軟な解釈・運用により地域の最適化を実現する視点を」と述べている。
(2) 公共事業の予定価格の積算の基礎となる「公共工事設計労務単価」は1997年から2013年まで下がり続け、ピーク時の7割にまで下がっている。清掃などの委託業務は、最低賃金ぎりぎりの額で請け負われていると報告されている(神奈川県協議会(2014))。また、民間への業務委託や指定管理者制度を導入する現場で官製ワーキングプアが進行している。港区の住宅でエレベーター事故が起きたが、随意契約から入札に変更されたことで保守管理料が3割に下落した(上林2015)。ふじみ野市プール事故(2006年)では、市営プールを管理する委託業者が再委託禁止条項に反して下請けに丸投げをしていた。総務省の「指定管理者導入状況調査」では、2006年に34施設だったのが、2009年には638施設が指定管理者の指定取消し、業務停止などを受けている(上林2015)。
(3) なお、最低制限価格制度は、工事系委託など、公共工事設計労務単価により、積算手法がある程度明確となっている事業に適用されている。
〈参考文献〉
◇伊藤圭一・斎藤寛生・原冨悟(2011)『公契約適正化運動のすすめ―発展方向と可能性を探る』本の泉社
◇小畑精武(2010)『公契約条例入門―地域が幸せになる〈新しい公共〉ルール』旬報社
◇上林陽治(2015)「公契約条例ならびに公契約基本条例をめぐる論点」自治総研通巻435号
◇鈴木満(2013)『公共入札・契約手続の実務―しくみの基本から談合防止策まで』学陽書房
◇永山利和・自治体問題研究所編(2006)『公契約条例(法)がひらく公共事業としごとの可能性』自治体研究社
◇辻山幸宣・勝島行正・上林陽治編(2010)『公契約を考える―野田市の公契約条例制定を受けて』公人社
◇武藤博己(2006)『自治体の入札改革』イマジン出版
◇原冨悟(2013)『公契約条例ハンドブック―賃金破壊とサービスの劣化にストップ』新日本出版社
◇公契約に関する協議会(神奈川県)(2014)「公契約に関する協議会報告書」
