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2015.04.10 政策研究

「島根県政しょうゆソース」プロジェクト2015【ポリレンジャー】

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ポリレンジャー顧問(コモンジャー) 毎熊浩一

 「ポリレンジャー~若者の手で政治をよくし隊!~」(以下「ポリ」といいます)とは、島根大学の学生約10名からなる政治系サークルです。「よりよい政治の実現を図るべく、若者(特に学生)の政治への関心や参加を促す」ことをミッションとしています。結成されたのは、2009年総選挙のとき。爾来(じらい)、ポリ独自の「出口調査」(選挙ごと)、「日本女性会議」での「女性の政治参画」分科会(2011年度)、「松江市政の通信簿」(2012年度・後述)、「模擬投票」(2013年度、2014年度)、「ポリコン」(数か月に一度)などを企画・実施してきました。詳細は、ポリホームページ及び拙稿「体験的政治参加論:若者と女性に関わって」『議員NAVI』Vol.47をご笑覧ください。
 さて、今回ご紹介するのは「島根県政しょうゆソース」プロジェクト。何とも奇妙なネーミングですが、もちろんちゃんとした意味があります。直訳(?)すれば、「show you(しょうゆ) source(ソース) of the 島根県政」。すなわち、このプロジェクトは、このたびの島根県知事選・県議選に当たり、投票の判断材料にしていただけるような情報及び情報“源”(=source)を整理し、島根(特に有権者)の方々(=you)にお見せしよう(=show)とするものです。具体的には、本プロジェクト用のホームページを作成し、(執筆時点では予定のものもありますが)大きく2種類の情報・情報源を載せています。ひとつは、既存のもの、今ひとつは、ポリレンジャー自らの手になるものです。
 まず、既存の情報。これも2つに分けることができます。島根県庁の持つ情報とそれ以外、です。前者には、県政のごく基本的な見取図たる「総合計画」(島根では「総合発展計画」といいます)、いわゆる行政評価のデータ、「主要3政策」(後述)に関する調査結果などが、後者には、日本青年会議所による知事候補者インタビュー(e-みらせん)、民間調査会社による各種ランキング、新聞記事などがあります。
 次に、ポリの手になる情報とは、主にアンケートに基づくものです。3種類あります。第1は、昨年の夏に実施した「島大生意識調査」。例えば、今回の知事選・県議選に対する関心度、投票意向などを尋ねました。中でも本プロジェクトにとって重要だったのは、どのような政策に関心があるのかを問うた設問です。「総合発展計画」に挙げられている15分野から3つを選んでもらいました。その結果、上位を占めたのは、「観光の振興」、「雇用・定住の促進」、「子育て支援の充実」でした。先述した「主要3政策」とはこれらを指します。第2に、その評価を企図したものが「島根県政に関する大学生アンケート2015」です。とはいえ、そのままズバリ各政策に関する満足度を問うてもなかなか答えられないものです。そこで、設問を多少工夫しました。例えば、観光については、学生自身(島大生のおよそ7割が県外出身!)の経験などを、「子育て」については自らの将来不安などを尋ねたところです。第3は、島根県議会議員に対するアンケートです。4年間の議員活動や県議会についてはもちろん、知事(溝口県政)に対する評価、さらには県議ご自身の趣味・特技やオススメの本・映画なども聞いています。ぜひ、ホームページをご覧いただければ、と思います。
 ところで、本企画には前身となるプロジェクトがあります。「松江市政の通信簿」事業です。2009年の市長選時、松江市長はいわゆる「マニフェスト」を掲げられました。この事業は、その達成状況や成果について評価を行ったものです。主たるねらいは、翌年(2013年)に控えた市長選において、この「通信簿」を投票の判断材料にしてもらおう、ということ。結果的に、市長を招いての公開討論会も含め、学生がマニフェスト評価を行うという珍しさもあってか、弊地でもそれなりにご好評いただき、さらには、かの「マニフェスト大賞」最優秀賞(市民部門)を頂戴したところです。

本「しょうゆソース」プロジェクトのホームページ公開のために、島根大学にて追い込みの作業をするポリレンジャーメンバーの学生。本「しょうゆソース」プロジェクトのホームページ公開のために、島根大学にて追い込みの作業をするポリレンジャーメンバーの学生。

島根大学祭にて。毎年、大学祭で発表とワークショップを行っている。島根大学祭にて。毎年、大学祭で発表とワークショップを行っている。

 実をいいますと、今回も当初は、「島根県政の通信簿」をつくろうとしていました。しかし、考えれば当たり前のことですが、投票に当たって参考になる(あるいは、参考にしたいと人が思う)材料は、このような情報ばかりではありません。しかも、ポリによる評価が唯一正しいわけでもありません。基本的に、評価は多様な方がよいですし、それ以外の情報も多くあった方がよいでしょう。そして実際に、ネット上だけでも(もちろん不十分なところもありますが)様々な情報が存在しているわけです。問題は、有益な情報であっても知られていない、バラバラにある、探すのにコストがかかる、といったことにあります。そこで、かかる「ソース(source)」を集め「しょうゆ(show you)」しよう! となった次第です。まだまだ不十分なところばかりですが、今後少しずつでもバージョンアップしていきたいと考えています。忌憚(きたん)なきご意見を頂戴できれば幸いです。

毎熊浩一

この記事の著者

毎熊浩一

1972年生まれ。出生は長崎、育ちは佐賀、学生時代は10年福岡。2000年から島根。専門は行政学。主な論文に、「体験的政治参加論―若者と女性に関わって」議員NAVI Vol.47(2014年)、「議会ウォッチのススメ―モノサシ批判に応える」Voters 22号(2014年)等。「ポリレンジャー〜若者の手で政治をよくし隊!〜」顧問。

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