日進市産業振興課商工労政観光係長 所俊邦
住民投票条例とは、住民の意思を直接表明する「住民投票」の手続を制度化(条例化)するものであり、日進市は、あらかじめ決めておいた一定の条件を満たせば、議会の議決を経ずに住民投票が実施される「常設型」の条例を目指しました。
1 条例制定の背景と制定の動き
平成5年6月に地方分権の推進に関する決議が衆参両院で可決され、また、同年10月の臨時行政改革推進審議会(第3次行革審)により地方分権の推進の基本理念、取り組むべき課題と手順等を明らかにした地方分権に関する大綱方針を今後1年程度を目途に策定すべきであるとする最終答申が出されるなど地方分権の流れの中で、「自分たちのまちのことは、自分たちで決めたい」という住民意識が芽生え、平成8年の新潟県巻町「原子力発電所建設」の住民投票を皮切りに全国各地で住民投票が実施されました。
日進市においては、平成19年3月に日進市の最高規範となる「日進市自治基本条例」が制定され、同年10月1日から施行されました。この条例に基づき、市民参加のひとつの手法である「住民投票条例」の制定を目指して同月から議論を開始しました。
2 検討の過程
日進市住民投票条例(案)の策定は、表にあるように、平成19年10月から平成20年8月までの約1年間をかけて取り組みました。筆者を含め公募市民14人とアドバイザー1人による「検討委員会」において、14回のワークショップを開催し、条例の骨子案を検討するとともに、学識者や区長会代表者など7人からなる「専門会議」が、専門的な見地から検討委員会をサポートする体制をつくりました。また、検討の過程でアンケート等を行うとともに、かわら版やパブリックコメント、フォーラム等を通じて情報を発信し、幅広く市民の皆さんの意見を伺いました。