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シリーズ自治体の災害政策

2017.04.25 政策研究

東日本大震災を受けて整備された最新の防災・復興法制について(その2)

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国土交通省国土交通政策研究所所長 佐々木晶二

 東日本大震災を受けて、防災の基本法である災害対策基本法は大改正され、さらに復興法制も整備されました。
 日本では今後も大きな災害が予測されていることから、読者の方々に最新の防災・復興法制をお伝えしようと思います。災害対応は総力戦ですので、地方公共団体の議員の方々も防災・復興法制の基本的枠組みをご理解いただき、地域の住民の命を守り、さらに、被災後の生活再建に行政とも連携して取り組まれることを期待しています。
 そのため、今回は、大規模な災害が発生した直後の「緊急事態」と「応急対策」の2つの段階について、議員の方々に知っておいていただきたい事項を述べます。
 なお、より詳細な内容は、今年2月に発行した拙著『最新 防災・復興法制』(第一法規)をご覧いただければ幸いです。

緊急事態

 巨大自然災害が発生した場合に、発災後72時間をめどに行うべき措置を「緊急事態」対応として説明します。

(1)内閣総理大臣による国民への呼びかけ
 巨大自然災害が発生したとき、又は、その発生が見込まれるときには、内閣総理大臣が、国民に対して、国民がとるべき措置について直接周知しなければならないことになりました。
 例えば、南海トラフ巨大地震が起きた際に、被災が予想される住民に高台避難を呼びかけたり、首都直下地震が起きた際には、出勤している勤労者に帰宅困難者にならないよう職場に待機するよう呼びかけたりすることを想定しています。

(2)緊急災害対策本部の設置
 緊急災害対策本部は、巨大自然災害が発生した場合に、閣議にかけて全閣僚からなる組織として設置します。
 この組織の設置により、本部長である内閣総理大臣は、各大臣、都道府県知事、市町村長に対して、必要な指示を行うことができるようになります。
 また、この緊急災害対策本部の設置は、次回に説明する「大規模災害からの復興に関する法律」の復興のための措置が発動する要件にもなっています。

(3)災害緊急事態の布告及び政府による対処方針の決定
 巨大自然災害が発生した際に、経済秩序の維持等の観点から、政府は閣議にかけて災害緊急事態の布告をすることができます。
 この布告をした場合には、政府は対処方針を決定するとともに、国会が対応できない場合には、金融モラトリアム、物価統制、配給のために緊急政令を定めることができます。
 また、この災害緊急事態の布告があると、自動的に、行政上の権利利益の満了時の延長など、被災者の権利利益保全のための措置が発動されます。

(4)自衛隊の出動要請等
 自衛隊の出動要請は、都道府県知事が行うことができます。市町村長は都道府県知事に自衛隊の出動を依頼するのが筋ですが、自分たちの状況について、自衛隊の部隊に連絡することはできます。
 これらの連絡を踏まえ、自衛隊の部隊が自らの判断で出動することも可能です。

(5)市町村長の避難指示等の拡充
 市町村長は、避難指示に加えて、堅ろうな建物の内部に待避するなど、安全確保措置を指示することもできるようになりました。
 例えば、夜間などの集中豪雨で土砂災害の発生が危惧される場合には、屋外に出て避難することは逆に道路にあふれた水にさらわれる可能性もあることから、崖の反対側の部屋や2階に避難するなどの安全確保措置を指示することが想定されます。

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