自治体法務ネットワーク主任講師(北九州市職員) 森幸二
(3)北九州市子ども読書活動推進条例
① 具体的な手段を規定する場合に必要な観点
政策に実効性を持たせるには、その政策を実現させるための「人」、「もの」、「金」などの「政策ツール」が必要です。条例を創る際に、政策ツールの内容が明確に想定されるのであれば、条例に規定すべきですし、条例の実効性も高くなります。政策条例のうち、政策ツールが具体的に規定されているものを、本稿では「政策具体化条例」と呼んでおきましょう。
一方で、具体的な政策ツールを規定するということは、それらのツールが必要な理由や効果等について、詳細な検討(チェック)が必要となります。
ここで、政策具体化条例のチェックポイントとして考えられるものを挙げておきます(表2)。
「北九州市子ども読書活動推進条例」は、政策具体化条例として、「読書活動を通した子どもの学力向上」という目的を達成するために具体的な政策ツールを規定しています。読書活動は、子どもたちの学力向上に大きな効果があります。また、図書館や学校図書館で本を読むことは、子どもたちが置かれている経済状況に左右されません。そこで、「子ども図書館の設置」や「学校図書館の充実」を要として、特に厳しい家庭・経済環境にある子どもたちのために「無償の学習システム」を構築しようというのが、この条例の政策コンセプトです。