神奈川県寒川町議会事務局
1 条例制定の趣旨・概要
平成18年5月、北海道栗山町議会において全国で初めて議会基本条例が制定されました。その後、「住民との関係の強化」と「政策形成機能の強化」の両面から議会基本条例制定の動きは全国に拡大し、多くの市区町村等で制定されています。
さて、神奈川県寒川町議会では、平成19年9月に任意の組織として設置された「議会改革推進委員会」により、これまで様々な議会改革を行ってきました。具体的な成果としては、通年議会の導入やタブレット端末の導入によるペーパーレス化、一般質問の一問一答方式への変更、議員間討議の実施による町に対する政策提言書の提出、町民向けに行っていた対面式の議会説明会をワールドカフェ形式の意見交換会(オープントークcafé)に改めたことなどが挙げられます。
このように寒川町議会では、議会基本条例によらずとも「住民との関係の強化」と「政策形成機能の強化」に取り組んできたところですが、これまでの議会改革の成果を後戻りさせることなく確実なものにすると同時に、これからの課題解決のため、議会及び議員の使命、役割及び責務を自覚し、より一層町民の負託に応え、開かれた議会とすることを目指すとともに、議会改革を継続するための決意として、議会基本条例の制定に取り組むこととしました。
議会基本条例制定に向けては、議会改革推進委員会を中心に3年間、26回にわたる協議・検討を進めてきました。検討に当たっては、条例ありきの議会改革ではなく、実情に基づいた条例である必要性があるとの観点から、先に内容の具体性を検討してから条例による明文化を行いました。
2 条例の概要
条例は前文に始まり、第1章「総則」から第8章「条例の検証及び見直し」まで章立ての構成で、全22条となっています。その概要は、次のとおりです。
(1)前文
町議会を取り巻く社会情勢と町議会の現状を分析するとともに、議会及び議員の使命や求められる役割、その責務を示しています。
(2)第1章 総則(1条~2条)
議会及び議員の役割と目的を明確化するとともに、他の条例等との関係性を定めています。
(3)第2章 議会(3条~12条)
議会の活動原則に始まり、会議の公開や議会広報の充実など開かれた議会としてあるべき事項、議員の資質向上・政策形成力に資する研修等の充実や専門的知見の活用についての事項などを定めています。
また12条では「主権者教育の推進」について定めており、これは全国で初めて議会基本条例に主権者教育の推進を明文化したものであることから、寒川町議会基本条例の大きな特徴であると捉えています。なお詳細ついては、「3 条例の特徴」で記載しています。
(4)第3章 議員(13条~17条)
議員の活動原則や会派、自由討議の推進、政治倫理について明文化することで、町議会議員としてあるべき姿について定めています。また13条では議員の定数について、改定に当たっては町政の現状と将来展望を考慮するとともに、総合的な観点から決定しなければならないことを定めています。
(5)第4章 政務活動費(18条)
会派及び議員の審議能力、政策立案能力を高めるための調査研究などの活動に必要な経費として交付される政務活動費について、条例に基づき適切に活用することを定めています。
(6)第5章 議会と町民の関係(19条)
議会の情報公開の徹底と、町民への説明責任を十分に果たすこと、町民の多様な意見を把握すること等、開かれた議会としての役割を定めています。
(7)第6章 議会と町長等の関係(20条)
二元代表制の趣旨を鑑み、議会と町長等が緊張ある関係を保つこととし、その上で町長等による事務執行の監視及び評価と、政策立案及び政策提言を行うことを定めています。
(8)第7章 議会事務局の体制整備(21条)
前述の議会及び議員の政策立案機能と政策提言機能の向上のためには、議会の活動を補佐する議会事務局の役割も重要です。そのため議会としても、議会事務局の機能強化及び組織体制の充実に努めることを定めています。
(9)第8章 条例の検証及び見直し(22条)
条例施行後もこの条例が形骸化しないように、町民の意見や社会情勢の変化等を勘案の上、条例内容について検討し、必要により所要の措置を講ずることを定めています。