一般社団法人ポリライオン代表理事 太田佳祐
政治分野に多様な人材が参画することが求められる昨今、政治分野における男女共同参画の推進に関する法律(以下「候補者男女均等法」という)が制定されるなどの取組みが進んでいます。
一方で地方議会議員の平均年齢は高く、例えば町村議会議員の平均年齢は65.2歳、20代の女性町村議会議員の数は全国でわずか4人(1)と、年齢・性別のバランスに著しい隔たりがあるのが現状です。このような状況下で若者や女性といった新たな属性や考え方の人材が議会に参画したことで、世代間の価値観の違いなどによって対立やハラスメント(嫌がらせ)が発生するようになりました。
今回は、筆者が代表を務める一般社団法人ポリライオンが令和4年に発表した「政治家ハラスメント白書」を基に、自治体議員に対するハラスメントの現状や、多様な属性の議員で構成される議会におけるメンタルケアの重要性について解説していきます。
自治体議員に対するハラスメントの現状
まずは、自治体議員に対するハラスメントがどのような状況で行われているのか、その現状を「政治家ハラスメント白書」を基に解説していきます。
(1)男女を問わず多くの議員がハラスメントを経験している
「政治家ハラスメント白書」によると、調査に回答した政治家の94%が「ハラスメント経験がある」と回答しています。男女別に見ると、男性が91%、女性は98%と非常に高い数値を示しています。一般企業でハラスメントを受けたことがある人の割合が32%であることを考えると、ハラスメントが発生しやすい環境であるといえます。
出典:一般社団法人ポリライオン「政治家ハラスメント白書」(2022年)
図1 ハラスメント経験の有無